ルネサス エレクトロニクスが同社の概況や事業方針などについて説明。市場環境の不確実性が高まる中で、成長目標の達成時期を2030年から2035年に延期するとともに、研究開発への注力による足場固めを優先する方針を表明した。
ルネサス エレクトロニクスは2025年6月26日、オンラインで投資家向け説明会を開き、同社の概況や事業方針などについて説明した。第2次トランプ政権による関税施策や中東における紛争の激化など市場環境の不確実性が高まる中で、同社の成長目標の達成時期を2030年から2035年に延期するとともに、研究開発への注力による足場固めを優先する方針を表明した。
ルネサスはこれまで、組み込み半導体メーカーでトップ3、売上高200億米ドル以上、時価総額を2022年比で6倍に拡大という成長目標を2030年までに達成するという方針を打ち出してきた。同社 代表取締役社長兼CEOの柴田英利氏は「これまでのグローバルで協調し一緒に手を携えて成長していこうというパラダイムではなくなりつつある。それぞれが力をしっかり付けていく必要があるということになってきている。当社も将来に向かって進んで行くには、トヨタ自動車が何度か使っている『意志ある踊り場』を乗り越えていく必要があるのではないかと考えた。ここで『意志ある踊り場』を乗り越えなければ、意図しない踊り場になってしまうリスクを感じている」と語る。
市場環境の不確実性が高まっている状況では景気が上向きになるよりも下向きになる可能性が高い。そして、この市場環境に合わせてルネサスの顧客を含めて各企業の調整(Adjustment)が進むことになる。さらに、ルネサスにとって大きく成長も著しい中国市場は、米国による半導体規制にあらがうように地場メーカーがどんどん力をつけている。
柴田氏は「これから長年にわたってしっかり成長していくためには、ここでもう一度われわれの強みに磨きをかける必要がある。目の前の売り上げを確保するために付け焼刃で対処していることなどもあったが、付け焼刃ではない、本腰を入れた取り組みをしっかり進めるためにも、成長目標の達成時期を2035年に延期することを決めた」と説明する。
このため、従来の事業モデルで設定してきた営業利益率目標30%という水準を25〜30%に幅を持たせることとした。足元の数年はこの範囲内で研究開発への投資を強化した上で、2035年に向けて30%に近づけていくイメージだ。
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