東芝、放射線を色で可視化する「ポータブルガンマカメラ装置」量産へ被災地の除染活動に貢献

東芝は、2011年12月に発表した放射線量を色で可視化する「ポータブルガンマカメラ装置」の生産体制を構築し、販売および撮影サービスの提供開始を決定した。量産効果により、発表当初に報じられた価格よりも低価格になる見込みだ。

» 2012年04月16日 18時06分 公開
[八木沢篤,@IT MONOist]

 東芝は2012年4月16日、放射線を可視化する「ポータブルガンマカメラ装置」の販売および撮影サービスを4月から開始したことを発表した。同装置は、2011年12月に発表されたものである(「目に見えない放射線を“色”で可視化」――東芝、ポータブルガンマカメラ装置を開発)。

 同装置は、福島第一原子力発電所の建屋内の調査のために使用された同社製ガンマカメラがベースとなっており、その性能をさらに向上・小型化したものだ。放射線センサーで測定したガンマ線と、ビデオカメラで撮影した映像を信号処理装置で重ね合わせることで、放射線量が高ければ「赤」、以降低くなるにつれて「黄」「緑」「青」と色を変えて表示し、目に見えない放射線を色で識別できるのが特長である。また、短時間で広範囲を計測できるので、特定に時間のかかる「ホットスポット」の発見や除染作業後の放射線量の低下具合の確認などにも使える。

ポータブルガンマカメラ 「ポータブルガンマカメラ装置」のイメージ

 昨年の発表以降、同社は、福島市との共同実証実験や中央官庁や地方自治体に向けた提案活動、さらには試験撮影要請への対応などを行ってきた。

 これらの活動の結果、同社は同装置の実用化に向けた性能および効果を確認するとともに、あらためて自治体などからのニーズが高いことを認識。今後、本格化する被災地の除染活動に貢献できるよう生産体制を構築し、販売およびサービスの提供開始を決定したという。なお、昨年の発表当時は1台2000万円程度、測定サービスが1日50万円程度と報じられていたが、「量産効果も見込めるため、本体価格は1200万円前後になるのではないか。また、測定サービスについても本体価格が下がる分、安くなる見込みである」(同社)とする。

image2image3 (左)測定風景のイメージ/(右)測定結果のイメージ

 なお、これまでは三脚による固定方式の撮影を提案してきたが、道路などを効率良く撮影するため、車両に装置を搭載した撮影方式も併せて提案していくという。以下、同装置の主な仕様を示す。

装置名 ポータブルガンマカメラ装置
重量 9.8kg
外形寸法 380×110×241mm
電源 AC100V/バッテリー
バッテリー駆動時間 3時間
放射線センサー 半導体検出素子(128個)
撮影範囲 視野角60度
表1 ポータブルガンマカメラ装置の主な仕様

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