東芝は放射線量を「赤」「黄」「緑」「青」と色の変化で表示できる持ち運び可能な「ポータブルガンマカメラ」装置を開発。特定に時間のかかる「ホットスポット」の発見に役立ちそうだ。
2011年12月13日、東芝は放射線量を色の変化で表示できる持ち運び可能な「ポータブルガンマカメラ」装置を開発したと発表した。同年12月中に福島市と共同で実証実験を行うとともに、2012年初頭から中央官庁や地方自治体などに向けた提案活動を開始するという。なお、価格は未定で、一般向けに販売するかどうかも現段階では決まっていない。1日50万円の有償による計測代行サービスを行うとしている。
同装置は、放射線センサー(半導体検出素子:128個)で測定したガンマ線とビデオカメラ(視野角:60度)で撮影した映像を信号処理装置で重ね合わせることにより、放射線の量を色の違いで表示。放射線量が高ければ「赤」、以降低くなるにつれて「黄」「緑」「青」と色を変えて表示し、目に見えない放射線を色で識別することができるのが特長だ。なお、撮影距離や条件などについては現段階で非公表であり、前述の実証実験で詳細に検証するとしている。
一般的に、局地的に放射線量が高い「ホットスポット」を特定するには時間がかかるとされているが、同装置であれば、放射線量の高低を画面上に色の変化で示すと同時に、短時間で広範囲を計測できるのでホットスポットを効率的に特定できる。また、除染作業後の放射線量の低下具合の確認にも使える。
装置名 | ポータブルガンマカメラ |
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重量 | 9.8kg |
外形寸法 | 380×110×241mm |
電源 | AC100V/バッテリー |
バッテリー駆動時間 | 3時間 |
放射線センサー | 半導体検出素子(128個) |
撮影範囲 | 視野角60度 |
表1 ポータブルガンマカメラの概要 |
同装置は、福島第一原子力発電所の建屋内の調査のために使用された同社製ガンマカメラの性能をさらに向上させ小型化したもの。同社独自の半導体検出素子の実装技術や信号処理・データ処理技術により、感度・測定性能を約30倍以上高めた(同社従来機種比)という。これにより、約0.1μSv/h(1mSv/年)という、低い線量率におけるホットスポットを特定できる。さらに、周囲からの放射線を遮蔽しながら放射線映像を取得するための遮蔽体設計の最適化がなされている他、電子回路のコンパクト化により約50%の軽量化(同社従来機種比)を実現しているという。
外形寸法380×110×241mm、重さ9.8kg。小型軽量であるため屋内外問わず、さまざまな場所に持ち運んで利用することができる。
同社は、今後も最先端の技術開発を進め、被災地の復興や社会に貢献できるよう努めるとしている。
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