No.16と同じ機能を持つ機構で、リンクを交差したものです。
図4のアニメーションから、下記のことが分かります。
格納時に思案点を通り越しますが、思案点ではタイヤ位置は持ち上がるため増加するスペースを考慮しなくてもいいのが特徴です。
航空機の着陸装置は、緩衝支柱、車輪、ブレーキで構成されます。着陸装置の機能として、下記のものがあります。
大型の旅客機には約20本のタイヤが装着され、ボーイング777で約340トン、エアバスA380で約560トンの機体重量と、離着陸時250〜350km/hという高速回転荷重や衝撃荷重にも耐えなければいけません。
さらに高度1万メートルの気温−45℃から着陸時のタイヤ表面温度250℃超までの温度変化の大きな耐環境性も要求されます。
そのため、航空機のタイヤは特殊な合成ゴムが使われていると思われがちですが、一般的な機械製品も使用される天然ゴムが使われています。離着陸を繰り返すうちに摩耗するので、離着陸回数の多い国内線では1カ月半でタイヤ交換するとのことです。
リンク機構を設計する場合、動作終了時にコンパクトに折りたたんでスペースを確保したいという場合がほとんどだと思います。このようなときに、航空機の車輪格納機構が参考になります。
今回は四節リンクの揺動機構のみに絞った構造を紹介しました。四節リンクの回転運動を利用したものやスライド機構を利用したものは、この連載の中で紹介していきます。
今回までは四節リンクの揺動機構を取り上げてきましたが、次回からは四節リンクの回転機構を取り上げ、それらの動作特性や特徴を確認しましょう。(次回に続く)
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