航空機の車輪格納に使われるリンク機構:メカメカリンクで設計しよう(5)(2/3 ページ)
No.16のリンク機構では駆動リンクを格納するときに思案点を通り越す必要があるため、その瞬間タイヤが下がる特性を持っていました。そこで、駆動リンクと中間リンクを同一直線状に配置した思案点の状態でストッパに当てることで、タイヤが瞬間的に下がることなく格納させることができます。
図2のアニメーションから、下記のことが分かります。
- タイヤが接地すると反力によって駆動リンクがストッパに押し当たりリンク機構が拘束され荷重を受けることができる。
- 接地による負荷を解除した後、駆動リンクを時計回り(CW)させると、タイヤが付いた従動リンクが持ち上げられ、折りたたまれることで格納できる。
図2 航空機に見られる車輪格納機構(思案点で拘束)
No.16、No.17から派生したリンク機構で、思案点を持たずに動作する機構です。
図3のアニメーションから、下記のことが分かります。
- タイヤが接地すると反力によって駆動リンクがストッパに押し当たりリンク機構が拘束され荷重を受けることができる。
- 接地による負荷を解除した後、駆動リンクを時計回り(CW)させると、タイヤが付いた従動リンクが持ち上げられ、折りたたまれることで格納できる。
駆動リンクと従動リンクの作用点が近いため、駆動リンクの少ない動作でリンク機構に大きな変化を与えられることが特徴です。逆に考えると、わずかな寸法バラツキによって姿勢が大きく変わるため正確な位置決めは不利であるともいえます。
図3 航空機に見られる車輪格納機構(思案点なし)
上記の機構を設計する上で、左図のように駆動リンクと従動リンクの作用点のなす角度αは必ず90°を超えた関係にしなければいけません。
右図のように駆動リンクと従動リンクの作用点のなす角度αを90°以下に設計してしまうと、駆動リンクの駆動力をストッパが受けてしまい全てのリンクが拘束され動作することができません。
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