下記に白物家電別の日米欧+中国・韓国の公開件数シェア推移を示しました。
2000年時点ではいずれの白物家電においても日本は50%前後のシェアを確保していました。
前回のシリーズ『知財マネジメントの基礎知識』でも述べているように、件数の多寡が競争優位性に直接結び付くわけではありません。しかし、ある国における特許件数が多いということは、その技術分野における研究開発が積極的に行われている、その技術分野に関する有望な市場があることを示しています。
そのような視点で図3を眺めると、白物家電における日本の存在感低下は顕著に表れています。洗濯機や冷蔵庫・掃除機については2000年には50%近くあったシェアが、2010年には半分程度にまで減少しています。その代わりに台頭しているのが中国や韓国です。
日本のシェアが比較的保たれているエアコンにおいても、2010年では中国・韓国の両国で50%近くまで躍進しています。炊飯器においても中国が大きく特許件数シェアを伸ばしています。
白物家電市場で存在感を増している中国。それではいったいどのような企業が白物家電関連特許を中国に出願しているのでしょうか? 次回は中国白物家電特許のメーカー動向を明らかにしたいと思います。
項目 | 内容 |
---|---|
データベース | esp@cenet |
分析条件 | 下記のIPC(国際特許分類)を含む特許 |
洗濯機:D06F | |
冷蔵庫:F25D | |
掃除機:A47L5 OR A47L7 OR A47L9 | |
電子レンジ:F24C OR A47J37 OR H05B6/12 | |
エアコン:F24F | |
炊飯器:A47J27 | |
ランドンIP合同会社 野崎篤志(のざき あつし)
1977年新潟県生まれ。
2002年慶応義塾大学院 理工学研究科 総合デザイン工学専攻修了(工学修士)。
2010年金沢工業大学院 工学研究科 ビジネスアーキテクト専攻修了(経営情報修士)。
日本技術貿易株式会社・IP総研を経て、現在ランドンIP合同会社シニアディレクター(日本事業統括部長)。
知的財産権のリサーチ・コンサルティングやセミナー業務に従事する傍ら、Webサイトe-Patent Map.net・e-Patent Search.netやメールマガジン「特許電子図書館を使った特許検索のコツ」を運営・発行している。
著書に『EXCELを用いたパテントマップ作成・活用ノウハウ』(技術情報協会)、『知的財産戦略教本』(部分執筆、R&Dプランニング)、『欧州特許の調べ方』(編著、情報科学技術協会)、『経営戦略の三位一体を実現するための特許情報分析とパテントマップ作成入門』(発明協会)がある。
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