3Dプリンタの普及のカギを握る「特許」の存在を、知財と企業戦略の専門家が読み解く本連載。3回目となる今回は、日米欧企業の3Dプリンタに関連する特許の出願状況について解説します。
知的財産(知財)を通じて、業界を読み解く連載「知財コンサルタントが教える業界事情」ですが、3回に渡って3Dプリンタについて紹介しています。前編では3Dプリンタの歴史について、中編では、3Dプリンタの具体的な特許情報を見てきました。後編では、日米欧企業の3Dプリンタに関連する特許の出願状況を解説しようと思います。
欧州特許庁EPO(European Patent Office)の特許検索サイト「Espacenet」には、2013年1月から、欧州特許分類ECLA(European Classification)に代わって、共通特許分類CPC(Cooperative Patent Classification)が登場しています。*)
*)Espacenet(無料で利用可能な特許検索データベース)について
CPCは技術の進歩だけでなく、「社会が技術に要請する視点」が反映された特許分類です。例えば「3Dプリンタ」や「再生可能エネルギー」に対応した特許分類の「B29C67」や「Y02E10/34」の登場はこの「社会が求める視点」で生まれたものです。
今回注目した3Dプリンタ技術には、特許分類IPC(International Patent Classification)の「B29C67:(特異な)成形技術」が関連する事例は多いものの、明確な対応特許分類ではありません。しかし、CPCでは技術の進歩に対応させ、特許分類「B29C67」の下位階層において、積層方法の種類に明確に対応した特許分類を定義しています。
表1にEPOによるCPC「B29C67」の定義表を示します。*)
*) Cooperative Patent Classifications(Espacenet Web上の Patent search)で検索
特許情報分析に有用な特許分類に対する利用実感は以下の通りです。
注) 今回の記事は、上記の実感に基づき構成されています。
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