中国の白物家電特許取得が一番多い国は? 巨大市場を狙う日・中・韓国+欧米各国の動向を年代別に分析すると……。
皆さん、こんにちは。日本技術貿易の野崎です。『知財コンサルタントが教える業界事情』の第4回は、白物家電の世界最大の生産国であり、かつ消費国になった中国の白物家電関連事情について日本・米国・欧州・韓国との比較でみていきたいと思います。
富士経済の調査結果(「グローバル家電市場総調査 2011」)によれば、2010年の白物家電の生産国シェアで中国は85%で圧倒的な首位であり、かつ消費国シェアで北米や西ヨーロッパを抑えてトップに立ちました。
特許法の大原則ですが、中国で白物家電を生産・販売するためには中国特許庁(正確には中国知識産権局)へ特許を出願して権利化しなければなりません。中国地場の家電メーカーだけではなく、日米欧そしてサムスン・LGといった韓国の家電メーカーも積極的に中国への特許出願を行っていると考えられます。
本稿では下記の白物家電に絞って動向を見ていきたいと思います。
図2に日米欧および中国・韓国における白物家電関連特許(洗濯機、冷蔵庫、掃除機、電子レンジ、エアコン、炊飯器)の5年ごとの公開件数推移をまとめました。
白物家電関連特許は日本が2000年・2005年と圧倒的な件数でトップになっていましたが、2010年には件数を大きく減らしています。日本と同様な傾向を示しているのが韓国や米国です。
対照的に中国では2000年にわずか705件であった白物家電関連特許の規模が2010年には約6倍の4300件にまで拡大しています。
2010年の件数面では辛うじて日本がトップを維持していますが、中国の増加の勢いがすさまじく、数年のうちに逆転の可能性もありそうです。
図2には中国実用新案は含めていないのですが、中国の実用新案というのは2010年出願で約41万件あります。図2に掲載しているのは中国の特許であり、2010年出願件数は約39万件。日本の2010年特許出願が約34万件、実用新案出願が9000件弱であることを考えると、中国の実用新案の出願規模がいかにスゴイものか実感できるのではないでしょうか。また、この中国の実用新案は無審査で登録になってしまうため、中国地場メーカーが積極的に利用しています。このあたりの事情についても本シリーズで取り上げていきたいと思います。
知財マネジメントの基礎から応用、業界動向までを網羅した「知財マネジメント」コーナーでは、知財関連の情報を集約しています。併せてご覧ください。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.