ここで、第1回で予告した「設計サバイバル術の大道具」(図6)を、前ページの図5に示した断面急変部に導入します。つまり、設計変更を施します。その結果を図7に示します。
うわー! なんかカッコイーイ! まさに“一気にベテラン設計者”って感じの作品ですなぁ。
良かったなぁ、良君。
それでは、断面急変対策の前後をXYスキャンで確認します……といいたいところですが、敢えて、Z方向スキャンだけで確認してみましょう(図8)。まず、どうしてそこなのか? その理由は、後で良くんが教えてくれます。
特に、図中の断面急変8〜12に注目しろ! これも命令だ。 “あいよー!”とか、軽々しくいうんじゃねぇぞ……。
あ……ああぃ……ンゲフンッ! ガッテン承知!
なるほど! Z方向は短い距離の間に数多くの断面急変が存在しますね。もしかして、樹脂箱のZスキャンは必須の設計サバイバル術ですね! きっと、そうだ!
そして、最後の仕上げで、3次元CADの機能であるスケルトン・モデル(透過表示)で確認しろ!(図9)。これができなきゃ、エリカちゃんと代われ!
板金設計も立体的で複雑形状な場合は、XYZの3方向をスキャンしますが、樹脂部品設計の場合は、「変身度大=設計難易度大」ですので、必ず、Z方向の断面探索スキャンを施します。
甚さん! 僕は一気にベテラン設計者へ近づいたぁっ!
応力集中だとか、樹脂材料の流動特性だとか、オジンの技術者はウンチクをやたらたれるものだが、オメェはしばらくの間、断面急変の探索スキャン一本で行けばいいよ。○○社長のように、いろいろ手を出すな! 一本だ、一本!」
◇
車が家電品の仲間入りするのも、もう間近です。そうすると、自動車も家電品やOA機器同様に、コストを決定付ける重要ポイントは樹脂や板金の部品となります。まずは、樹脂部品設計の「設計サバイバル術」を習得しましょう。
次回の第3回も、難関である樹脂部品設計を攻め込みます。お楽しみに!
國井 良昌(くにい よしまさ)
技術士(機械部門:機械設計/設計工学)。日本技術士会 機械部会 幹事、埼玉県技術士会 幹事。日本設計工学会 会員。横浜国立大学 大学院工学研究院 非常勤講師。首都大学東京 大学院理工学研究科 非常勤講師。
1978年、横浜国立大学 工学部 機械工学科卒業。日立および、富士ゼロックスの高速レーザプリンタの設計に従事。富士ゼロックスでは、設計プロセス改革や設計審査長も務めた。1999年より、國井技術士設計事務所として、設計コンサルタント、セミナー講師、大学非常勤講師としても活躍中。Webでは「システム工学設計法講座」を公開。著書に「ついてきなぁ!加工知識と設計見積り力で『即戦力』」(日刊工業新聞社)と「ついてきなぁ! 『設計書ワザ』で勝負する技術者となれ!」(日刊工業新聞社)がある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.