最終回では、いままで学んだ設計サバイバル術が身についているか、テストで確認。身についていないと甚さんのゲンコツが……。
根川 甚八(ねがわ じんぱち)
根川製作所 代表取締役社長。団塊世代の大田区系オヤジ技術屋。通称、甚さん
国木田良太(くにきだ りょうた)
ADO製作所 PC事業部 設計2課 勤務。80年代生のイマドキな若者。機構設計者。通称、良君
編集部注* 本記事はフィクションです。実在の人物団体などとは一切関係ありません。
今回は、最終回。前回の甚さんの厳しいせりふから始まります。
そうだ。樹脂用ねじの取り付け、取り外しは、経験上は3回だ。これは学問じゃねぇ、実務経験だ。ところで、オメェ、VTRテープはどうした?
えっ(絶句)! 今回って最終回なんでしょ!?
どうしたと聞いているんだ。オレさまが江戸っ子だって知っているんだろなぁ? 風呂はカラスの行水よりはえんだ。意味分かるか? 気が短けぇってことよ。
えっ(また絶句)! あれは、確か……。VTRテープは購入しましたが、分解レポートは書いていません……。
もう、いい。オメェ確か、歌舞伎が好きだっていっていたよなぁ。確か、歌舞伎役者のようになりてぇといっていたよなぁ。だったら、歌舞伎役者なってもうおうじゃねぇかい。あん?
ちょっと、怖い甚さんです……。
実は、前回では解説しませんでしたが、甚さんは、VTRテープには樹脂用ねじが何本使われていて、どのような種類のねじで、太さ、長さ、材質を、そして、重要な「めねじ」の形状を質問しながら良君を指導しようとしていたのです。
ところでVTRテープは、樹脂設計における「お手本」の超優等生です。その購入価格は、たったの100円! 筆者のセミナー終了後、韓国、中国の技術者はすぐに自費で購入しますが、日本人技術者はなかなか購入しません。なぜでしょうか?
また、日本の学校教育で板金設計と樹脂設計のカリキュラムは、ほぼ皆無です。いまだに、旋盤加工とフライス加工を中心とした機械材料であり、機械製図の授業です。3次元CADどころか、「カラス口(ぐち)注1」まで出現する教科書を使用している学校もあり、もう、どうしていいものか目まいがしました(注1:インクで図面を描く専用の付けペン。注釈を入れるのもツライ……) 。
若手技術者の「即戦力」を目指す当事務所のスタンスとしては、少々、困惑しています。
甚さん、もう許してくださいよぉ!
いんやぁ、今回は許せねぇ……といいたいところだが、いまからテストすっから、70点以上取ったら許してやらぁ。
了解しました。最後の事例も優れものと聞きました。楽しみです。早く教えてください。
よし、分かった。シっかしよぉ、オメェ、本当にチャージする気があるのかぁ? エリカちゃんとは、ますます差が開くような気がすんけどよぉ……。
潔い良君です。
それでは、甚さん 設計サバイバル術の理解度テストを以下に実施します。最も重要なのは、「問題1」とその解答です。それでは、最終回として、その応用を解説していきましょう。
このシリーズ、つまシ、設計サバイバル術で最も重要な「知識」は、何だ? さっさと答えろ! これ一発で一気にベテラン設計者の仲間入りできるんだぞ。できねぇ奴は、エリカちゃんと交代しろ!
板金、樹脂、切削部品の設計で最も難しいのはどれだ。その理由をいってみやがれ、コンチクショ〜ッ!
樹脂設計の天敵が2ついる。下の○の部分を記述しろ! ゆっておくがよう、食いもんの名前じゃねぇぞ!
樹脂設計に関する設計サバイバル術の「小道具」をいってもらおうじゃねぇかい? あん? 江戸っ子は気が短けぇんだ、さっさといえ!
テンメェ…… 考えもしねぇでよぉ、すぐに次のページを見るなってぇんだ!」
ずぇったい見ませんともーっ!! 今回もワクワク、ドキドキです!
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