今回は樹脂部品の設計サバイバル術用“小道具”を紹介。基板取り付け穴の設計に便利なテクニックを活用してみよう。
根川 甚八(ねがわ じんぱち)
根川製作所 代表取締役社長。団塊世代の大田区系オヤジ技術屋。通称、甚さん
国木田良太(くにきだ りょうた)
ADO製作所 PC事業部 設計2課 勤務。80年代生まれのイマドキな若者。機構設計者。通称、良君
*編集部注:本記事はフィクションです。実在の人物団体などとは一切関係ありません。
甚さんと良君のデコボココンビは、いつもの居酒屋でお酒を飲みながら語り合っています。カウンターの上に置かれたテレビに映るニュースでは、某メーカーのリコール問題について報じています。
それを見ていた甚さん……お酒の力も手伝って、大爆発します。
べらんめぇ〜〜〜!! 道路で滑ったのは、『ヒーリングの問題』だとぉ? オイ! そこの社長をここへ呼べ! なにぃ? 謝罪したいから尾張に来いだとぉ? おい、オメェらそれでも、江戸っ子か!?
甚さーん、とっくり投げちゃダメだってーッ!! あの、尾張では『江戸っ子』じゃなくて、『シャチホ子』っていうんです。それから『ヒーリング』じゃなくて『フィーリング』では……。
オイ、院卒! いつからそんなオヤジギャグをいうようになったんだー? あん? ところでよぉ、まっさか、そこの社長は“技術系”社長じゃあるめえなぁ? ……ああ、違うのかぃ。ホッとしたぜぃ、ヒック……。
○○社長――例えば、女性社長、技術系社長、二世社長――の件は、甚さんが第2回で痛烈に非難していました。それは、甚さんの「技術と技術者を大切にしたい」という思いからなのです。
だったら、それでも日本人かぁ? 大日本帝国の恥さらしだ尾張といえば、零戦(レイセン)の発祥地だ、ウィック……。
甚さーん、『ゼロセン』でしょー?
ばっかもん、『レイセン』と呼べーっ! これは、命令だ!! あの設計者、堀越 二郎先生の作品だぜぃ。兵器として見るな! あのシルエットを美しいと思えないか!?(図1)。
図1 零戦(レイセン)のプラモデル(筆者組み立て)
レイセン、イズ、ビュリホー(Beautiful)!!
べらんめぇ! この大事なシーンで英語を使うな! オメェみたいなヤツを、けぇわい(KY)というんだろうがぁ! ……ヒックッ 。
ヒーッ! スミマセン!!
ウィー……零戦がトラブっちまったらよぉ、大日本帝国のパイロットを失うことになり、ここでだよぉ、リコールなんてやっていたら、そりゃオメェ、戦争が終わっちまうじゃねぇかい。あん? そうだろうって……ヒッ。
はーい……そーっすね。
零戦のテスト飛行のお披露目会でだよぉ、急降下で空中分解したら、そりゃオメェ、切腹もんだっただろうよ。……ウィックゥ……、ドラマの『龍馬伝』見てっかぁ? 毎回のように切腹シーンが出てくるよ。失敗したら、リコールすりゃいいって考えてんじゃねぇかい? いまの技術者は? あん? プロの技術者なら正直に答えろってんだ……!
……その考え方は、いかんぜよー
こういう会見って、登場するのはだいたい社長なんだよなぁ。“社”の“長”なんだから、出てくるのが当たっりめぇだよ……ヒャック」
はぁい……。
あっ! 技術系副社長が出張ってきやがったな! 世の中、“副”が付くほど、気楽な仕事はねぇぞ。副学級委員長、副生徒会長、副理事長、副校長、副部長、そして、副社長……気楽なポジションだぜぃ! ……ウーイ……まぁ、それはどうでもいいがよぉ。……オレサマがいいてぇのはよぉ、なぜ、設計者や設計承認者が出てこねぇんだってぇことだ。本当に設計審査で承認して、世の中に出したんだろうな?
……は……(うつらうつら……)。
ISOはどこ行ったてぇの? まさか、ISOを取っていねぇってぇうわさは本当かぁ? 設計者! 設計承認者! リコールのときは、雲隠れかぁ? あん? そんでもって『成果主義』だとぉ? 技術者の地位が確立されてねぇだとぉ? 都合のいいことばかりいいやがってぇ。江戸っ子なら、堂々とお天道サマの前に出て来やがれ! フンガーッ!!
ビクゥッ! 甚さん、とっくりを投げるのは、やめてつかぁさいっ!!」
困りました……。甚さんは、だいぶ、酔っ払っているようです。
前回の記事末でお伝えした「樹脂設計における各種の設計サバイバル道具」は、「小道具」のことです。
甚さんの愚痴がさらにひどくならないうちに、さっさと大特訓の本題に入りましょう。
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