トップ50に日本企業は資生堂と任天堂の2社だけ、商標の国際登録:知財ニュース(2/2 ページ)
世界知的所有権機関(WIPO)が2021年3月2日(現地時間)に発表した2020年の国際商標制度の利用状況によると、トップ10に日本企業から資生堂と任天堂がランクインした。ただ、国際特許出願状況に比べると、国際商標制度の利用状況、国際意匠登録それぞれの日本企業の活用状況は活発であるとはいえず、上位に入る企業数は少ない結果となっている。
意匠登録は減少、国別ではドイツが首位
一方で、国際的な意匠登録を行うハーグ制度を利用した意匠登録件数は、2020年はCOVID-19の影響を大きく受け、15%減の1万8580件となった。これは2006年以来初めての減少だという。
国別では、ドイツが3666件の登録を行い、前年より減少したものの、引き続き国際意匠制度の最大ユーザーの地位を維持した。2位以下は、米国(2211件)、スイス(1994件)、韓国(1669件)、イタリア(1231件)が続いている。日本は942件で7位という結果だった。上位10カ国の中では、米国(62.7%増)、トルコ(34.7%増)、中国(22.7%増)と3カ国のみが成長を示した。
国際意匠登録のトップ50にも日本企業は2社のみ
企業別で見ると、韓国のSAMSUNG ELECTRONICS(サムソン電子)が859件の意匠出願を公開し、4年連続で首位を維持している。次いで、米国のPROCTER&GAMBLE(プロクター・アンド・ギャンブル)の623件、オランダのFonkel Meubelmarketingの569件、ドイツのVOLKSWAGEN(フォルクスワーゲン、VW)の524件、中国のBEIJING XIAOMI MOBILE SOFTWARE(北京小米科技モバイルソフトウェア、シャオミ)の516件が追っている状況だ。
シャオミは中国企業として初めて出願人トップ5にランクインした企業となった。また、276件の意匠登録で第10位にランクインしたドイツのLampenweltは、ハーグ制度を新たに利用して国際意匠登録を開始していきなりのトップ10入りとなったという。
一方で日本企業を見てみると、最高位は32位の三菱電機(107件)である。その他では、東芝が42位に入っているだけで、トップ50には2社のみという結果となった。
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