PFAS、PFOS、PFOAとは? 違いが分からない人のための基礎知識PFASの基礎知識と最新動向(1)(6/6 ページ)

» 2026年09月08日 06時00分 公開
[中嶋昇MONOist]
前のページへ 1|2|3|4|5|6       

(13)PFAS問題を理解するための「3段階」

PFAS対応はこの3ステップで理解しよう PFAS対応はこの3ステップで理解しよう[クリックで拡大] 出所:環境省

 PFAS対応を次の3段階で考えます[参考資料19]。

第1段階:「PFASとは何か」を知る

 今回がこの段階です。PFASという大きなグループの中に、PFOS、PFOA、PFHxSなどの物質があることを理解します。

第2段階:「なぜ中小企業にも関係するのか」を知る

 ここが連載第2回のテーマです。PFAS問題は、法律だけを見ていると企業への影響が分かりにくい部分があります。

 水環境への関心が高まっていることに加え、大手メーカーなどがサプライチェーン全体の化学物質管理を進めれば、取引先である中小企業にも情報提供を求める動きが生じる可能性があります。

 つまり、「法律で直接規制されているか」だけではなく、「取引先から何を求められる可能性があるか」という視点も必要になります。この点は、連載第2回で詳しく整理します。

第3段階:「自社のどこを調べるのか」を知る

 連載第3回では、いよいよ自社調査の入口に進みます。PFASを調べる場合、「製品だけを調べればよい」とは限りません。

 そこで、

  • (1)製品
  • (2)工程
  • (3)設備
  • (4)非製品領域

という4つの領域からPFASとの接点を探します。つまりPFAS調査では、「自社製品にPFASが入っているか?」だけではなく、「事業所内のどこにPFASとの接点があるか?」という視点が必要になります。

(14)第1回のまとめ――まずは「PFASという大きな箱」を理解しましょう

 最後に、今回のポイントを整理します。

ポイント1:PFASは1つの化学物質ではありません

 PFASは、多数のペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物をまとめた名称です。環境省は、1万種類以上の物質があると説明しています。

ポイント2:PFOS/PFOAはPFASの一部です

 関係は、PFAS>PFOS/PFOAです。

 PFOSとPFOAはPFASそのものではなく、PFASに含まれる代表的な物質です。

ポイント3:PFOSとPFOAは別の物質です

 PFOSは「ペルフルオロオクタンスルホン酸」、PFOAは「ペルフルオロオクタン酸」です。化学構造上の違いがあります。

ポイント4:PFOS・PFOAが特に注目されてきました

 幅広い用途で使用されてきたことに加え、環境中で分解されにくいなどの性質があり、国際的/国内的な規制が進められてきました。

ポイント5:PFAS規制はPFOS・PFOAだけではありません

 PFHxSなども規制対象となっており、2026年にはLC-PFCAなどの第一種特定化学物質への指定も決定されています。

 従って、「PFOS/PFOAだけ調べればPFAS対応は終了」とは考えないことが重要です。



<次回予告>

 第2回:なぜ中小企業もPFAS対応を迫られるのか?知らないと危ないその理由

 PFASは、化学メーカーだけの問題ではありません。水質汚染への関心や規制強化に加え、大手メーカーから取引先へ化学物質の情報提供を求める動きもあります。

 第2回では、「なぜ中小企業にもPFAS対応が必要なのか」を、規制とサプライチェーンの両面から分かりやすく解説します。

 さらに第3回では、製品、工程、設備、非製品領域の4つに分け、自社のどこを確認すればよいのかを具体的に整理します。

参考資料:

[1]河川や地下水などの水環境でPFOS/PFOAが検出される事例:

(1)沖縄県金武町(きんちょう)

(2)岡山県中央部の吉備中央町にある円城浄水場

(3)広島県東広島市で、同市内の瀬野川水系

[2]「水質基準に関する省令の一部を改正する省令」及び「水道法施行規則の一部を改正する省令」の公布等について(環境省)

[3]ストックホルム残存性有機汚染物質条約(POPs)

[4]環境省リーフレット(PFOS/PFOAとは?)

[5]「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律施行令の一部を改正する政令」(経済産業省)

[6]有機フッ素化合物(PFAS)について(環境省)

[7]PFASに関するQ&A|PFASに関するQ&A、JFIA、日本弗素樹脂工業会

[8]PFASの特性、「PFAS」とは? 種類と用途、規制などについて、AGC

[9]有機フッ素化合物(PFAS)について(環境省)

[10]ストックホルム条約(POPs条約)におけるPFOSの規制内容とは?、(Eurofins)

[11]PFAS、PFOS、PFOAの違いとは? 物質の特性や使用例について

[12]第70回_PFOA PFOS PFASの違いは?規制対象PFASはEUとアメリカで同じ?(月刊化学物質管理)

[13]有機フッ素化合物(PFAS)について、よくある質問、環境省

[14]PFHxSとは?輸入が禁止される理由と対策について、Eurofins

[15]「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律施行令の一部を改正する政令」(経済産業省)

[16]遺憾な置換における化学的規制の意図しない役割、PFASのケース、ScienceDirect

[17]水質基準に関する省令の一部改正及び水道法施行規則の一部改正等について(施行通知)、環境省

[18]「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律施行令の一部を改正する政令」、経済産業省

[19]PFAS規制で企業は何をすべきか?対応の優先順位と実務ポイント


筆者紹介

中嶋昇

大手電機メーカー(NEC他)のIT/防衛関連事業にて、40年以上にわたり品質保証やマネジメントを牽引してきた技術コンサルタント。液晶ディスプレイやスマートフォン、ミサイル防衛システムのソフトウェア評価(IV&V)まで、精密デバイスから大型システムに及ぶ多角的な品質管理体制の構築/運用を手掛けてきました。海外100社以上の部品ベンダー監査や、ISO9001/14000の導入支援など、グローバルな現場指導実績も豊富です。

現在は環境・技術コンサルタントとして独立し、製造品質の管理支援やQC教育に加え、GX(脱炭素/LCA算出)、DX、AI(人工知能)業務支援など最先端領域の体制構築を多角的に支援。製造現場の知見と高度な品質マネジメントを強みに、企業の持続可能な成長と競争力向上に伴走しています。


前のページへ 1|2|3|4|5|6       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

特別協賛PR
スポンサーからのお知らせPR
Pickup ContentsPR
Special SitePR
あなたにおすすめの記事PR