まず覚えてほしいのは、PFASは、特定の1種類の化学物質を指す名前ではないということです。環境省は、PFASについて1万種類以上の物質があると説明しています。つまり、PFASは非常に多くの化学物質をまとめた総称です[参考資料6]。
これは「果物」という言葉に似ています。果物には、りんご、みかん、バナナ、ぶどうなど、さまざまな種類があります。同じように、PFASという大きなグループの中に、PFOS、PFOA、PFHxSなどの物質があります。
この関係を理解することが、PFAS問題を理解する第一歩です。
PFASが1万種類以上あるのであれば、当然、全てのPFASが同じ性質を持っているわけではありません。物質によっては、
などが異なります。従って、「PFAS」という言葉を見ただけで「この物質は危険だ」「この製品は規制対象だ」と判断することはできません。実務では、具体的にどのPFASなのかを特定することが重要になります[参考資料7]。
例えば、「PFASを含んでいます」という情報だけでは、規制対応の判断に十分ではない場合があります。PFOSなのか、PFOAなのか、PFHxSなのか、それとも別のPFASなのか。さらに、その物質がどの法令の対象になっているのか。こうした確認が必要になります。
PFASの特徴を理解する上で重要なのが、炭素とフッ素の結び付きです。また、PFASには、炭素とフッ素からなる構造を持つものが多く、その強い結合によって、物質によっては非常に安定した性質を示します。この性質は、産業用途では大きなメリットになっています[参考資料8]。
例えば、
といった性能を利用できます。
こうした性能は、さまざまな産業で魅力的な製品やサービスを生み出します。つまり、PFASは、撥水/撥油性や化学的安定性などの有用な性質から幅広く利用されてきました。
化学物質が環境中に放出された場合、時間とともに分解される物質もあります。ところが、PFASの中には環境中で分解されにくいものがあります。
環境省は、PFOS/PFOAについて、難分解性、高蓄積性、長距離移動性という性質があることを説明しています[参考資料9]。
このため、PFAS問題では「使用量」だけでなく、使用後に環境中でどうなるのかという点が重要になります。
例えば、ある物質が製品として使用された後、適切に回収/処理されれば環境への排出を抑えられます。
一方で、環境中に放出された物質が分解されにくければ、長期間残留する可能性があります。これがPFASを環境管理上の重要なテーマにしている大きな理由の1つです。
<Q&Aコーナー>
Q2.PFASとPFOS・PFOAは、結局どう違うのですか?
A.PFASが大きなグループ名で、PFOS/PFOAはその中に含まれる個別の物質です。
PFASは、ペルフルオロアルキル化合物やポリフルオロアルキル化合物などをまとめた総称です。一方、PFOSは「ペルフルオロオクタンスルホン酸」、PFOAは「ペルフルオロオクタン酸」という、それぞれ別の物質です。
つまり、PFAS>PFOSやPFOAという関係になります。
「PFOSやPFOAを調べればPFASの全てを確認できる」という意味ではありません。規制や取引先からの調査依頼では、具体的にどのPFASが対象なのかを確認することが重要です。
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