難燃テキスタイルおよびリチウムイオン電池向け不織布は、アクリロニトリルと塩化ビニールあるいは塩化ビニリデンを共重合した「モダクリル繊維」を活用したものだ。モダクリル繊維は、さまざまな天然繊維や合成繊維を組み合わせても優れた難燃効果を発揮する機能性繊維で、連邦自動車安全基準(FMVSS)規格NO.302の自動車内装材料燃焼試験でも高い難燃性を示している。
成形性もよく深絞りの凹凸を維持したまま製品化できる他、レーザー加工にも対応している。同社ではモダクリル繊維を用いたテキスタイルをシート材などの自動車内装材として、不織布をリチウムイオン電池のセルが熱暴走した際に隣接するセルへの熱伝達を抑える製品として開発を進めている。
カネカの説明員は「リチウムイオン電池のセルは熱暴走すると800℃まで達するので、それに取り付けたモダクリル繊維の不織布は発火して焦げるが、隣のセルに燃え移ることを防げる。そのため、モダクリル繊維の不織布をリチウムイオン電池のセルに搭載することで、リチウムイオン電池のケースで利用されている厚いステンレスを薄くできる可能性がある」と述べた。
一方、モダクリル繊維はリサイクルできないことが課題だった。そこで、カネカではモダクリル繊維のモノマーに戻すケミカルリサイクル技術の開発を進めている。モダクリル繊維のケミカルリサイクルで得られるポリ塩化ビニールフィラメントを活用したモノマテリアルカーマットと不織布製品の開発も進めている。
カネカの説明員は「このリサイクル技術で得られるポリ塩化ビニールは従来通り複合することで難燃化できる。複合化された繊維素材をそのままリサイクル可能だ」とコメントした。
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