OKIエンジニアリングは、群馬県高崎市にあるOKIの西横手工場工場内に化学分析拠点「高崎ラボ」を開設し、半導体製造ライン向け化学分析サービスの提供を開始した。【訂正あり】
OKIエンジニアリング(OEG)は2025年7月3日、OKIの西横手工場(群馬県高崎市)で記者会見を開き、同工場内に化学分析拠点「高崎ラボ」を同月4日に開設し、半導体製造ライン向け化学分析サービスの提供を開始すると発表した。
近年、生成AI(人工知能)の進化と普及に伴い、半導体にはデータ処理性能の向上が求められている。データ処理性能を高めるために、半導体の微細化と高積層化が進んでいる他、製造ラインはより厳密な化学物質の管理が必要となっている。例えば、クリーンルーム内の空気汚染や製造工程で使用する薬液中への不純物の混入は、半導体の品質に影響を及ぼす。これらの問題は主に半導体製造後の検査で判明する。そのため、定期的にクリーンルームや使用する薬液の状態などを分析し、品質に問題がない半導体を生産できるラインを構築する必要がある。加えて停電や地震などによってクリーンルームで空気汚染が発生し、それを検知した際には正常な状態に復旧しなければならない。
一方、クリーンルームや半導体製造工程で使う薬液を分析する技術を保有していない企業や、技術を持っていても分析を行う体制の維持管理コストが高いと考える企業が外部委託を希望することも多い。しかし、近隣に迅速に対応する化学分析施設がない場合は遠隔地の施設などを使用しなければならない。その際には、クリーンルームの状態や使用する薬液などの検査に使用する試料を発送する必要があるだけでなく、配送期間などで時間がかかり、半導体製造ラインの稼働再開が遅れる可能性がある。
そこで、OEGは半導体やその材料の工場が集積する北関東地域に高崎ラボを開設した。これにより、周辺の半導体工場の担当者が自動車などで試料を持ち込み、迅速に半導体製造ライン向けの化学分析が行える環境を整えた。
OEG 代表取締役社長 執行役員の大場宏之氏は「OEGが注力ターゲットとしている半導体市場は今後も大きな成長が期待されているため、今回のサービス強化に踏み切った。当社では、半導体関連の工場が集積し、OKIの半導体工場がある高崎エリアを戦略拠点として位置付けている。半導体向けサービスを提供する5つ目の拠点となる高崎ラボを起点に、OKIの営業拠点や設計/製造受託サービス(EMS)のグループとも連携して、半導体向けサービスの提供エリアを、関東甲信越のさまざまな地域にまで拡大することを目指す」と話す。
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