東ソーは、「ケミカルマテリアル Japan2025 (Chemical Material Japan2025)」に出展し、「高耐熱柔軟ポリウレタン」と「酸化物系セラミックス複合材料」を披露した。
東ソーは、「ケミカルマテリアル Japan2025 (Chemical Material Japan2025)」(会期:2025年11月27〜28日、東京ビッグサイト)内の「第8回 先端化学材料・素材総合展」に出展し、「高耐熱柔軟ポリウレタン」と「酸化物系セラミックス複合材料」を披露した。
高耐熱柔軟ポリウレタンは、−40〜+150℃の幅広い温度域で長期安定性が求められる過酷な用途に最適なポリカーボネートジオール系二液硬化型ウレタンとなる。特に低温環境下での柔軟性の維持に優れるため、従来のウレタンと異なり硬化により割れにくい。
用途としては自動車電装部品の封止材を想定している。東ソーの説明員は「現状は自動車電装部品の封止材としてはシリコーンが利用されるケースが多い。しかし、シリコーンには低分子シロキサンが含まれており、これは揮発性/絶縁性があり、電子機器の電気接点に付着し接点障害を起こすことが問題視されている。一方、高耐熱柔軟ポリウレタンは低分子シロキサンを含有していないため、接着性がシリコーンより良好だ。さらに、現行のシリコーンより安価で、耐熱性はシリコーンと同等レベルとなっている」と話す。
同製品の技術開発はほぼ完了しており、顧客の採用に合わせて量産化を進められる段階だという。
酸化物系セラミックス複合材料は、セラミック系の繊維を含有したオールセラミック材料で、耐熱金属に比べて軽量な他、高い耐熱性と耐腐食性を備えている。同社の説明員は「酸化物系セラミックス複合材料は、当社の界面制御技術により、繊維と母相の界面をあえて剥がれやすく設計することで、亀裂が入っても界面で力が逃げるため、割れにくい(脆性破壊しない)特性を持つ」と述べた。
同材料は、アルミナ繊維系を備えた開発品「TCA-01」やムライト繊維系を搭載した「TCM-01」と「TCM-02」をラインアップしている。
TCA-01の密度は2.75g/cm3で、室温弾性率は73GPa、室温での引張強度は295MPa、1200℃での引張強度は188MPa、熱暴露(1200℃、1000時間)後の引張強度維持率は96%、熱伝導率は5.6W/(m・K)、1200℃から大気クエンチでの強度低下なし。
TCM-01の密度は2.62g/cm3、室温弾性率は71GPa、室温での引張強度は183MPa、1200℃での引張強度は195MPa、熱暴露(1200℃、1000時間)後の引張強度維持率は103%、熱伝導率は3.3W/(m・K)、1200℃から大気クエンチでの強度低下なし。クリープ破断時間については、1200℃、80MPaの環境において100時間以下で破断はしなかった。
TCM-02の密度は2.72g/cm3、室温弾性率は69GPa、室温での引張強度は217MPa、1200℃での引張強度は218MPa、熱暴露(1200℃、1000時間)後の引張強度維持率は103%、熱伝導率は3.3W/(m・K)、1200℃から大気クエンチでの強度低下なし。クリープ破断時間については、1200℃、80MPaの環境において100時間以下で破断はしなかった。
用途としては、高温治具や半導体製造装置、航空/宇宙分野向けの材料や炉材を想定している。同社の説明員は「航空機やガスタービンなど、高温環境で使用される耐熱金属の代替品で使えるとみている。製造技術は確立済みで、顧客の要望(スペック/形状)に合わせて、カスタマイズや量産を検討している段階だ」(東ソーの説明員)。
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