三菱ケミカルは、シロキサン骨格を構造に取り入れ黄変しにくい光硬化性エポキシや柔らかく曲げられるバイオエポキシを開発した。
三菱ケミカルは、「ネプコンジャパン2023」(2023年1月25〜27日、東京ビッグサイト)内の「第37回 インターネプコンジャパン」に出展し、新製品として開発した「低屈折Crossi(クロッシー)エポキシ」「バイオベースエポキシ」「バイオベース硬化剤」を披露した。
低屈折Crossiエポキシは、シロキサン骨格を構造に取り入れた光硬化性のエポキシ樹脂で、可視光から近赤外線まで高い透過率を誇る。三菱ケミカルのブース担当者は、「これまでの光硬化性エポキシ樹脂は、光を浴びて黄色に変色する黄変が短時間で起きやすかったが、低屈折Crossiエポキシは、化学的に安定なシロキサン骨格を構造に採用したエポキシ樹脂のため、高湿度下で168時間の光照射試験を行った後も無色透明を維持できた」と話す。
種類に関しては、相溶性タイプ「YL9028」や抵硬化収縮タイプ「YL9029」、高速硬化タイプ「YL9113」を用意している。用途としては、カメラモジュールをはじめとする光学部品の接着剤やLEDディスプレイの封止材などを想定している。今後はさらなる低屈折率化を実現した光硬化性エポキシ樹脂の開発も進めるという。
バイオベースエポキシは、原料の一部にバイオマス由来の材料を使用したエポキシ樹脂で、60〜80%のバイオマス度を有する他、化石燃料由来の素材使用量を減らせ、CO2排出量の削減に貢献する。種類に関しては、バイオマス度や粘土が異なる「YL9119」と「YL9127」を用意している。
「硬化したエポキシ樹脂はこれまで、硬く折り曲げることが困難だったが、バイオベースエポキシは柔軟性に優れた分子設計を採用しており、硬化しても柔らかく曲げられる。従来のエポキシ樹脂よりバイオベースエポキシの価格は高いが、環境に優しく柔らかいエポキシ樹脂に関心があり、用途開拓を検討している顧客を探している」(三菱ケミカルのブース担当者)。また、ビスフェノールA型エポキシ樹脂などの従来品に近い性能を有するバイオベースエポキシの開発も進めているという。
バイオベース硬化剤は、バイオマス度が70%を超える液状のエポキシ樹脂硬化剤で、酸無水物硬化系としての物性を保ちつつ、吸湿速度が遅く、触媒配合時のガス発生も少ない。種類に関しては、低粘度タイプの「YLH1490」と高耐熱タイプの「YLH1491」をラインアップしている。用途としては、絶縁注型材や半導体の液状封止剤、繊維強化プラスチックでの利用を想定している。
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