車載用リチウムイオン電池のリチウムをリサイクルする新プロセス 回収率90%以上:リサイクルニュース
JX金属サーキュラーソリューションズは、車載リチウムイオン電池に含まれるリチウムを回収率90%以上でリサイクルする新プロセスを開発した。
JX金属の子会社であるJX金属サーキュラーソリューションズ(JXCS)は2025年4月16日、車載リチウムイオン電池に含まれるリチウムを回収率90%以上でリサイクルする新プロセスを開発したと発表した。
JX金属グループは、2009年から使用済みリチウムイオン電池からのレアメタル回収に取り組んでいる。現在は、車載リチウムイオン電池からレアメタルを回収し、再び車載用リチウムイオン電池の原料として使用する「クローズドループ・リサイクル」の実証試験を国内最大規模で行っている。
一方、欧州電池規則では、廃車載リチウムイオン電池からのレアメタル回収率を2031年末までにリチウムで80%、コバルト、ニッケルは95%にすることを求めていることから、これらレアメタルの回収率改善に取り組んでいた。
これらの中で、リチウムは回収が特に難しく、国内外の企業がさまざまなアプローチで回収率改善に取り組んでいる。そのような中、JXCSが開発した新プロセスは、同社調べで世界最高水準のリチウム回収率となる90%を実現した。同プロセスは従来プロセスに比べカーボンフットプリントを40%削減できる。
現在JXCSでは、2026年度下期の稼働を目指し、JXCSの子会社であるJX金属サーキュラーソリューションズ敦賀(JXCS敦賀)の既存設備に新プロセス設備の追加工事を進めている。なお、新プロセスの実証事業は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「グリーンイノベーション基金事業」の支援を受けて実施する。
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