レゾナックの計算情報科学研究センターと、ニューロダイバーシティー人材で構成された専門部署「ジョブ・サポートチーム」が連携し、高品質な教師データの内製化を実現した。
レゾナックは2025年12月15日、同社の計算情報科学研究センターと、ニューロダイバーシティー人材で構成された専門部署「ジョブ・サポートチーム」が連携し、高品質な教師データ(正解データ)の内製化を実現したと発表した。
ニューロダイバーシティー人材とは、脳や神経の特性に由来する多様な認知特性/能力を持つ人材を指す。これは、発達障がい、精神障がい、知的障がいといったカテゴリーに含まれる人々を、「不足」や「障がい」として捉えるのではなく、「人間の多様な個性の1つ」として肯定的に捉える概念に基づいているという。
同社は、材料検査にディープラーニングを活用した画像解析技術を導入し、検査精度の向上と自動化による検査時間の短縮を推進している。
ディープラーニングによる検査の自動化には、ベテラン検査員の判断をAI(人工知能)に学ばせるための教師データが必要となる。教師データは、AIに読み込ませるためのデータで、わずかな誤りがあるだけでも解析精度が大きく低下するため、ピクセルレベルで正確に作成する必要がある。教師データ作成は、画像中の粒子を1つずつ手作業で色分けするなどして行う。この作業は高度な集中力と正確さが求められるとともに、膨大な作業量のため人手不足が課題となっていた。
そこで、計算情報科学研究センターの画像解析専任チームとジョブ・サポートチームが連携し、高品質な教師データの内製化を目指した。ジョブ・サポートチームが教師データの作成を担った。ニューロダイバーシティー人材ならではの、丁寧さと集中力が業務内容と高い親和性を示し、迅速かつ、正確に教師データを作成できたという。さらに、教師データ作成を内製化したことでノウハウの蓄積が可能となり、継続的に高品質なデータを供給可能な体制を構築した。
同社の子会社であるレゾナック・セラミックスの富山工場(富山市西宮町)で製造している球状アルミナの画像解析において、ジョブ・サポートチーム作成の教師データを学習させたAIを使用した結果、従来モデルと比較して誤検出率が40.8%から3.2%に大幅に低下した。これにより次の解析ステップである、アルミナ粒子のOK/NG判定精度のさらなる向上に取り組むことができ、その結果を製造条件にフィードバックすることにより、今後の生産性向上が期待される。
球状アルミナは、アルミナを原料とし、高温の火炎中で熔融させることで球形にした材料だ。直径数μ〜90μmサイズの粒子で、熱伝導性、流動性や充填性に優れていることから、電子部品向け放熱シートの充填材などに使用されている。
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