レゾナックの最注力は半導体の後工程材料、6G向け半導体の新材料も開発製造マネジメントニュース(1/2 ページ)

レゾナック・ホールディングスは「レゾナック株式会社」を発足した。レゾナックでは、昭和電工と日立化成の技術を組み合わせて、世界トップクラスの機能性化学メーカーになることを目指している。

» 2023年01月18日 06時30分 公開
[遠藤和宏MONOist]

 レゾナック・ホールディングスは2023年1月17日、東京都内で会見を開き、「レゾナック株式会社」が同年1月1日に発足したことを発表した。レゾナックは、昭和電工と昭和電工マテリアルズ(旧日立化成)の事業を統合した機能性化学メーカーで、昭和電工が扱っていた石油化学、化学品、黒鉛電極の事業と、旧日立化成の半導体/電子材料やEV関連材料の事業を保有し、2021年の実績では化学メーカーとして国内7位の売上高を誇る。

レゾナック・ホールディングス 代表取締役社長 兼 レゾナック 代表取締役社長 高橋秀仁氏

 レゾナック・ホールディングス 代表取締役社長 兼 レゾナック 代表取締役社長の高※1橋秀仁氏は、「(この事業規模により)機能性化学メーカーとしてグローバル市場に挑戦するチケットを手に入れた」と意気込んだ。

※1 高:正確にははしごだか。

 昭和電工は、今回の統合でレゾナックに生まれ変わり、石油化学を中心とした総合科学メーカーから脱却し、両社の技術を組み合わせて、世界トップクラスの機能性化学メーカーになることを目指している。この目標を実現するために、2021年4月から2022年9月にかけて、昭和通商やアルミ缶事業、食品包装用ラップフィルム事業といった8つの事業を売却し、ポートフォリオの入れ替えを行った。

売却した8つの事業[クリックで拡大] 提供:レゾナック

 ポートフォリオの運営では、「サステナビリティを前提にポートフォリオ属性に応じた戦略に合致するか(戦略適合性)」や「当該事業の成長を実現する上で最適な経営主体は誰か(ベストオーナー)」だけでなく、「事業あるいは投資が期待する採算性/資本効率を充足するか(採算性と資本効率)」の検討に加え、ポートフォリオを継続的に見直した上で入れ替えを実施していく。こういった取り組みにより、コア成長事業の半導体/電子材料事業へ経営資源を集中的に投資して、2030年には売上高全体に占める半導体/電子材料事業の割合を2021年の31%から約45%に伸長させる。2030年の目標売上高としては1.8兆〜1.9兆円を掲げている。

2021年の売上高と2030年の売上高目標の内訳[クリックで拡大] 提供:レゾナック

 コア成長事業の半導体/電子材料事業では、これまで半導体の高集積化の原動力を担ってきたシリコンウエハー上に回路を形成する前工程の微細化が2nmまで進むなど既に限界を迎えつつあり、シリコンウエハーから切り出した複数のチップを組み合わせることでさらなる半導体の高集積化を進める後工程の技術革新が求められていることを踏まえて、半導体チップのパッケージングを行う後工程で使用する材料の展開に注力する。

 さらに、昭和電工と旧日立化成の統合により、後工程材料の売上高は2021年実績で世界1位を記録し、商品別でもダイボンディングフィルムや銅張積層板(半導体パッケージ基板用)、感光性フィルム、ソルダーレジスト(大型パッケージ基板用)で世界1位のシェアを獲得していることも、後工程材料の展開に注力する要因となっている。なお、半導体材料メーカーとしての売上高は、2021年実績で世界3位に位置し、世界のトップ5でシリコンウエハーを扱わない半導体材料メーカーは同社のみだという。

半導体材料メーカーとしての売上高の位置付け[クリックで拡大] 提供:レゾナック
後工程で使用する同社材料のシェア[クリックで拡大] 提供:レゾナック

 半導体の材料開発では、昭和電工の「作る(分子設計)」技術と日立化成の「混ぜる(機能設計)」技術を組み合わせて、幅広い半導体材料をカバーする。例えば、昭和電工が開発したセラミックスの微粒子や化学品合成技術と日立化成の配合技術を組み合わせることで、研磨速度、平坦性、研磨対象物の選択制を同時に満たす「CMPスラリー」を開発した。

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