パナソニックエナジーは社内教育制度である「パナソニック エナジー 技術・モノづくりアカデミー」を2023年4月1日に発足させている。CTOの渡邊氏直轄の組織であり、入社2年目までの社員を対象に、同社認定の高度技術者が「技術学部」「生産技術学部」「製造学部」の3学部で電池に特化した技術教育を行う。
かつては現場任せのOJTによる育成が中心だったが、アカデミーによって現場に寄り添う学習システム化が図れており、テキストやカリキュラムなどの情報の一元化も進んでいる。発足から2年間の活動で、独自講座数は143、総受講者数は約3300人となった。また、新入社員研修コースも用意しておりコース数は46に上る。「新卒入社はもちろん、キャリア入社も電池メーカー出身者は数%と少ないこともあり、アカデミーによる短期間での戦力化は大きな効果が出ている」(同担当者)。
このアカデミーによる社内教育にとどまらず、社外における電池人材の育成に貢献していく活動の一つがMIRAI奨学金だが、パナソニックエナジーはさらに活動を広げているところだ。
2022年8月には、パナソニックエナジーなど産業界、京都大学大阪大学などの教育機関、自治体などが参加して関西蓄電池人材育成等コンソーシアムが発足した。現在までに48の機関と組織が参加しており、メーカー協業による設備/実機を導入した教育プログラムの立ち上げを計画している。政府は、2030年までに電池産業に関わるサプライチェーン全体で合計約3万人の蓄電池人材の育成を目指しており、同コンソーシアムによる教育プログラムの貢献が期待されている。パナソニックエナジーの果たすべき役割も大きい。
さらに2025年4月からは、大阪公立大学の中百舌鳥キャンパス(堺市中区)内に新たに建設されたイノベーションアカデミースマートエネルギー棟に入居して、蓄電池分野の人材育成プログラムの提供を開始する。パナソニックエナジーとして、大学内で人材育成プログラムを提供するのは初の試みだ。
初年度となる2025年度は施設の設備を活用した講座と実習を実施する。講座では、電池の基礎知識から、セルおよびシステムの設計、生産技術まで幅広く学べる内容を提供する。実習では、リチウムイオン電池や乾電池の組立を体験できる機会を設ける予定だ。
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