パナソニック エナジーは、2025年度までの3年間で国内約1000人、海外約4000人の合計5000人を増強し2万5000人の体制とする方針を打ち出した。この人的リソース強化に合わせて、新たな教育制度の導入や、ジョブ型人財マネジメントへの変革なども推進する。
パナソニック エナジーは、現在約2万人の従業員数を2025年度までの3年間で国内約1000人、海外約4000人の合計5000人を増強し2万5000人の体制とする方針を打ち出した。この人的リソース強化に合わせて、短期間で電池関連の専門能力を高める教育制度の導入や、ジョブ型人財マネジメントへの変革などを推進し、急速な事業環境の変化や競合企業と厳しい競争に勝ち抜くための人事制度改革を推進する方針だ。同社 常務執行役員 CHROの三木勝氏が2023年3月16日、東京都内で報道陣の合同取材に応じ、2023年度以降の人事戦略を説明した。
パナソニック エナジーは中期事業戦略において、2021年度の売上高7644億円から2026年度まで年平均10%以上の成長を目指すとともに、利益面でもEBITDA率で2021年度の16%から2026年に20%とする目標を掲げている。三木氏は「脱炭素やEV(電気自動車)化など事業環境は刻々と変化し、競合企業との競争が激化する中で、このような高い事業目標を達成するために最も重要なのが人財だ」と強調する。
2022年度も人財採用を進めているが「パナソニックグループの中でもこれまでにない規模と速度で事業成長」(三木氏)が続く中で人的リソースの不整合が起こっているという。また、キャリア採用を増員することで人財構成にも大きな変化が生じており、これまで採用してきたメンバーシップ型人財マネジメントにも限界が生まれつつある。
これらの課題を解決すべく打ち出したのが、「人財競争力の徹底強化」「人財価値を最大化する人事制度への変革と環境整備」「自立した個人が最大限活きる組織風土の創造」を骨子とする中期人事戦略である。
まず人的リソースの強化では、2022年度末時点で国内5000人、海外1万5000人の体制から、2025年度までに国内で約1000人、北米の約3000人を含む海外で約4000人を増強する。国内では製品開発だけでなくその効率的な生産の立ち上げなども行うことから、電池セル関連の研究開発に加えて生産技術や工場でのオペレーションに携わる人財を中心に獲得を進める。2022年度は国内で約250人を採用しており、2023年度以降も毎年300人を獲得していきたい考えだ。また、海外の約4000人のうち、北米の約3000人は新たに建設を進めているカンザス工場におけるモノづくり関連の人員が中心になる。
これらの人財獲得によってパナソニック エナジーの人員構成は大きく変化することになる。例えば、従業員の海外比率は2022年度が74%だが、2025年度には76%となり、カンザス工場をはじめとする生産能力増強で2030年度には80%を上回る見通しだ。国内における採用でも、新卒など定期入社の比率が2022年度の71%から2025年度には60%となり、2030年度にはキャリア入社が上回るようになるという見立てだ。
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