「デザイン保護に意匠登録は必須」と人は言うけれど……設計者のためのインダストリアルデザイン入門(13)(5/5 ページ)

» 2025年01月08日 06時00分 公開
前のページへ 1|2|3|4|5       

まとめ:あなたのデザインを守るために

 デザインにおける意匠は、ビジネスの成功に欠かせない要素です。競合他社との差別化やブランドイメージを高める上で、意匠の保護は重要な戦術となります。冒頭に紹介した「猫もふ」の事例で見たように、類似品問題が発生した場合の対処や経済的損失は軽視できるものではありません。

 今回は、意匠権のメリット/デメリットや費用対効果をどう考えるべきかを解説しました。意匠権を取得することで、模倣品対策やブランド価値向上といった効果が期待できる一方、費用や期間、保護範囲の限定など、デメリットや留意点もあるという点がお伝えしたかったことの1つです。

 意匠登録は、デザインを伴う全ての製品開発で必要というわけではありません。事業規模、製品ライフサイクル、市場競争の激しさなどを踏まえた費用対効果を考慮し、自社のデザイン戦略にとって最適な選択をすることが重要です。

 デザインはあなたのビジネスの貴重な財産ですが、そもそも、事業の成功なくしてデザインの成功はあり得ません。事業全体を考えるのであれば、少なくとも中小企業にとって意匠権の取得が、事業全体における重要な意思決定の1つであることは間違いなさそうです。 (次回へ続く)

※なお、意匠登録のプロセスについては、さまざまな場所で解説されていますので、本稿では割愛させていただきました。

⇒ 連載バックナンバーはこちら

Profile:

菅野 秀(かんの しゅう)
株式会社346 創業者/共同代表

株式会社リコー、WHILL株式会社、アクセンチュア株式会社を経て、株式会社346を創業。これまで、電動車椅子をはじめとする医療機器、福祉用具、日用品などの製品開発および、製造/SCM領域のコンサルティング業務に従事。受賞歴:2020年/2015年度 グッドデザイン大賞(内閣総理大臣賞)、2021年/2017年度 グッドデザイン賞、2022年 全国発明表彰 日本経済団体連合会会長賞、2018 Red dot Award best of best、他

≫株式会社346
≫ブログ
≫X[旧Twitter](@can_know)


前のページへ 1|2|3|4|5       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.