ランクセスは現在、コンシューマープロテクションやスペシャリティーアディティブスの事業展開に注力している。
革新的なソリューションとして、コンシューマープロテクションでは、化粧品とパーソナルケア製品向けの防腐剤「ネオロン PH100」や長期消臭効果を実現する特殊銀系抗菌剤「シルバーデュア」、大気中のCO2を吸着するイオン交換樹脂「レバチット VP OC 1065」を提供している。
スペシャリティーアディティブスでは、ドイツ国内で調達された再生可能原料を基に製造された持続可能な淡色硫黄系極圧添加剤「アディティン スコープブルー」と、電気自動車(EV)向けの高電圧コネクタ用オレンジ染料「マクロレックス オレンジHT」や「バイプラスト オレンジ TP LXS 51137」を提供している。加えて、含有物の50%以上に持続可能な原材料を使用した、ゴムパウンド向け老化防止剤「ブルカノックス HS」を2024年末までに提供開始予定だ。
環境配慮に関しては、さまざまな気候保護施策により2019年以降、「Scope1(燃料の使用や工業プロセスでの直接排出の温室効果ガス排出量)」と「Scope2(他社から供給された電気、熱、蒸気の使用に伴う温室効果ガスの間接排出量)」を年率平均で11%削減している。
「Scope3(Scope1、2を除く事業者の活動に関連する他社のGHGの排出量)」も2019年以降、年率平均で14%削減している。
また、持続可能性を備えた製品であることを示す同社の認証ラベル「スコープブルー」を取得した製品を増やしている。スコープブルーを取得した製品には、保存料、可塑剤、潤滑油添加剤、ポリマー添加剤、老化防止剤、イオン交換樹脂がある。米津氏は「全体のうちスコープブルーを取得した製品は多く見積って2〜3割だ」と述べた。
さらに、カーボンフットプリントを自動計算するソフトウェアを開発した。このソフトウェアは顧客の気候目標をサポートするもので、安全性と品質を証明する認証もドイツで取得している。
2024年通期の業績については、コンシューマープロテクションはほぼ前年並みの業績、スペシャリティーアディティブは前年をやや上回る業績、アドバンスト中間体は前年を大幅に上回る業績を見込んでいる。
さらに、2024年の上半期は需要低迷が続くことや農業関連顧客の在庫調整負担の影響を受けるものの、下半期以降に販売数量が緩やかに改善する見通しだ。2024年通期のEBITDAは2023年の業績は上回るが、同社の平均的な水準を大幅に下回ると想定している。
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