ドイツの特殊化学薬品メーカーのランクセスは、2040年までにScope1、2でカーボンニュートラルを実現するために、脱炭素を加速するさまざまな取り組みを展開している。
ドイツの特殊化学薬品メーカーであるランクセスの日本法人は2023年4月21日、東京都内で2023年度の活動に関する記者説明会を開き、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みを紹介した。
同社は、GHG(温室効果ガス)の削減目標「クライメイトニュートラル2040」とプロジェクト「ネットゼロバリューチェーン」の両輪で脱炭素のロードマップを策定している。
クライメイトニュートラル2040では、GHGプロトコルにおける「Scope1(燃料の使用や工業プロセスでの直接排出のGHG排出量)」と「Scope2(他社から供給された電気、熱、蒸気の使用に伴うGHGの間接排出量)」の削減スケジュールを明記した。
2004年のScope1と2を足したGHG排出量の6500kt(キロトン)と比較して、2025年に−65%(2300kt)、2030年に−80%(1300kt)、2040年に−100%(カーボンニュートラル)と、段階的にスケジューリングしている。
ネットゼロバリューチェーンでは、バリューチェーン全体の「Scope3(Scope1、2を除く事業者の活動に関連する他社のGHGの排出量)」の削減スケジュールを示した。2015年におけるScope3の2万7000ktと比べ、2030年に−40%(1万6500kt)、2050年に−100%(カーボンニュートラル)と記している。
ランクセス日本法人 代表取締役社長のジャック・ペレズ氏は、「当社では、特殊化学薬品の展開に注力するために、グループの再編など、ポートフォリオを最適化している。これにより、2018〜2022年にかけて、Scope1と2を足したGHG排出量を年率11%でカットした。Scope3でも、2018〜2022年にかけて、GHG排出量を年率16%で減らしている」と効果を語った。
Scope3を低減する取り組みとして、再生可能エネルギーを用いて製造された塩素、苛性ソーダ、水素を使用することで、年間12万tのCO2排出量を削減している他、2023年末までにポートフォリオ全体で持続可能なフレーバー/フレグランス製品を提供する予定だ。
コンシューマープロテクションユニットでも、サステナビリティを意識したアクションとして、全体の90%以上が持続可能な原材料で構成されたイオン交換樹脂「レバチット スコープブルー」や優れた効果を発揮する飲料用天然由来保存料のリリースを行っている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.