ランクセスの2023年通期業績は在庫調整の影響で減収減益、2024年通期は回復見込み製造マネジメントニュース(1/2 ページ)

ランクセスは、東京都内で記者会見を開き、2023年通期業績および2024年の事業活動や業績見通しを説明した。

» 2024年04月22日 08時00分 公開
[遠藤和宏MONOist]

 ランクセスは2023年4月19日、東京都内で記者会見を開き、2023年通期(1〜12月)業績および2024年の事業活動や業績見通しを説明した。

ドイツにおけるエネルギーコストの高騰も影響

 同社は、2004年にバイエルから独立した特殊化学品会社でドイツのケルンに本社を構え、コンシューマープロテクション製品やアドバンスト中間体、特殊添加材を展開している。世界32カ国に拠点を持ち1万2800人の従業員が所属している。

 戦略的注力事業として、農業や医薬品業界/虫よけ剤および消毒剤向けの活性成分、水処理や洗浄水用のイオン交換樹脂などを扱うコンシューマープロテクションや、ポリマーや特殊化学品向けの添加剤や着色剤などから成るスペシャリティーアディティブス、無機顔料などの基礎化学品が中核のアドバンスト中間体を展開している。 

ランクセスの戦略的注力事業 ランクセスの戦略的注力事業[クリックで拡大] 出所:ランクセス

 2023年通期の売上高は前年比17%減の67億1400万ユーロ(約1兆1000億円)となった。企業の稼ぐ力を示すEBITDAは特別項目を除き前年比44.9%減の5億1200万ユーロを記録した。

ランクセスの2023年通期の売上高とEBITDA ランクセスの2023年通期の売上高とEBITDA[クリックで拡大] 出所:ランクセス
ランクセス日本法人 代表取締役社長の米津潤一氏は ランクセス日本法人 代表取締役社長の米津潤一氏

 ランクセス日本法人 代表取締役社長の米津潤一氏は「2023年は顧客の在庫調整の影響で当社製品の販売量が低迷した他、ドイツでエネルギーコストが高騰し同年度の売上高と収益は低迷した。日本法人でも2023年は顧客の在庫調整と需要の低迷により売上高が減った」と話す。

 ランクセスの日本法人は、東京都の丸の内エリアに本社とオフィスを構え、川崎市高津区と愛知県豊橋市にラボ/製造拠点を持つ。

 川崎市の拠点では同社の物質保護剤や微生物制御製品のラボを有している。豊橋市の拠点ではタイヤ製造用の高性能ブラダーを提供する事業「ラインケミー」の予備分散ゴム薬品の製造を行っている。加えて、水処理および液体処理のための製品/ソリューション(イオン交換樹脂など)を提供する事業「液体高純化テクノロジーズ」のラボとカスタマーテクニカルセンターを備えている。

 近年は設備投資の一環として、川崎市の拠点では新テクニカルセンターを、豊橋市の拠点では新しい倉庫と品質管理(QC)ラボ棟を開設した。

 新テクニカルセンターは、同社の物質保護剤向けの施設で高度な試験能力を備えており、包括的な微生物試験を提供していることに加え、パーソナルケアから工業用途まで幅広い業界の製品に対応している。

 豊橋市の新倉庫とQCラボ棟はいずれもラインケミー用の施設で、新倉庫は国内の顧客にサービスを提供するための製品と原材料を保管している。新QCラボでは国内の高い品質基準に応えるため製品の品質管理を行っている。

川崎市の拠点では新テクニカルセンターを、豊橋市の拠点では新しい倉庫と品質管理ラボ棟を開設 川崎市の拠点では新テクニカルセンターを、豊橋市の拠点では新しい倉庫と品質管理ラボ棟を開設[クリックで拡大] 出所:ランクセス
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