早稲田大学は、親しい友人が正面に存在すると副交感神経の活動が活性化して心拍数が減少すること、友人が右手側に存在すると副交感神経活動は活性化しないものの心拍数は減少することを明らかにした。
早稲田大学は2024年3月6日、親しい友人が正面に存在すると、副交感神経の活動が活性化して心拍数が減少することを明らかにしたと発表した。また、右手側に親しい友人が存在すると、副交感神経活動は活性化しないものの、心拍数は減少することが分かった。
今回の研究は、親しい間柄にある他者の存在が、ヒトの生理的反応にどのような影響を与えるかを調べたものだ。検証は、親しい友人同士16組を対象に、友人同士がさまざまな位置関係で立っているときの心電図データを取得することで実施した。
その結果、親しい友人がパーソナルスペース内の目の前にいると、他の位置にいるときよりも心拍数が減少することが分かった。この時、副交感神経活動は活性化していた。副交感神経活動の活性化が心拍数の減少を引き起こすことから、親しい友人の存在が副交感神経活動を活性化し、その結果として心拍数が減少すると考えられる。
さらに、「友人の右顔を見ているとき」または「友人に自分の右顔を見られているとき」は、副交換神経活動の変化は見られなかったが、心拍数は減少した。一方、心拍数の減少は左手側では観察されず、左右では生理反応が異なった。
先行研究では、パーソナルスペースは利き手側の方が非利き手側より小さいと報告されており、この左右差は、利き手側と非利き手側のパーソナルスペースの大きさの違いが原因の1つとして考えられる。しかし今回の研究では、左右のパーソナルスペースの形状の違いは検証されていないため、さらなる研究が必要としている。
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