日系メーカーの新車生産は本格的に回復、コロナ禍前に届かない企業も自動車メーカー生産動向(4/4 ページ)

» 2024年02月28日 06時00分 公開
[MONOist]
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マツダ

 8社の中で最も回復基調を示したのがマツダだ。2023年のグローバル生産台数は、前年比14.8%増の125万3654台と2年連続で増加した。半導体の供給改善が進んだことや米国工場の2直化などが要因。とはいえ、依然として続く半導体不足の影響や、中国での販売低迷などもあり、コロナ禍前の2019年との比較では15.7%減にとどまった。

 このうち世界生産の3分の2以上を占める国内生産は、前年比14.2%増の83万9170台と4年ぶりにプラスへ転じた。半導体の供給改善や、前年の中国からの部品供給不足、ゼロコロナ政策の反動などが要因。車種別では「CX-5」の同3.5%増の他、「マツダ3」(同31.4%増)や「CX-30」(同50.1%増)が大きく伸長した。

 海外生産は、前年比16.1%増の41万4484台と2年連続のプラスだが、地域によって明暗が分かれた。北米は、メキシコがマツダ3やCX-30の増産などにより、同36.8%増と伸長。さらに米国工場も2直化したことで同98.1%増と倍増した結果、北米トータルでは同47.4%増と北米で生産する日系5社で最も高い伸びを見せた。一方で、タイは現地の需要に合わせて「マツダ2」やCX-30の生産調整を実施したこともあり、同21.3%減と低迷した。

 中国は、一汽乗用車での「マツダ6」と「CX-4」の生産委託を2023年4月に終了。唯一の生産拠点である長安マツダ汽車でも「CX-8」の生産を終了した。ただ、6月から新たに「CX-50」の生産を開始した。台数ではマツダ3やCX-5は前年を上回ったが、CX-30の在庫調整を実施したことで、2023年の中国生産は前年比10.3%減だった。

 足元の実績も着実に回復しており、2023年12月単月のグローバル生産台数は、前年同月比13.0%増の10万2326台と3カ月連続で増加した。このうち国内生産は同7.0%増の6万6713台と4カ月連続で前年実績を上回った。車種別では主力モデルのCX-5が同20.1%増、CX-30は同72.2%増と大きく伸長した。国内向けCX-8の生産を終了した代わりに、北米向けの2列シートSUVの新型車「CX-70」の生産を開始した。

 国内以上に好調なのが海外生産で、前年同月比26.4%増の3万5613台と6カ月連続のプラス。北米は、メキシコがCX-30の増加で同5.7%増となった他、米国が2直化により同96.2%増と倍増した。中国も前年実績が低水準だったことと、CX-50の生産開始により同113.9%増と2倍超の伸びを見せた。ただ、タイは市場低迷が続いており、マツダ2やCX-3の在庫調整により同41.6%減と生産も大幅に減らしている。

三菱自動車

 三菱自の2023年のグローバル生産台数は、前年比1.1%増の102万4010台と2年ぶりに前年実績を上回った。プラスを確保したが、コロナ禍前の2019年との比較では25.2%減という低水準だ。特に海外生産が低迷し、同8.4%減の52万3372台と2年連続の減少。8社の海外生産では最も落ち幅が大きかった。

 主力拠点のタイが前年比1.6%減と伸び悩んだことに加えて、2023年3月から生産を停止し10月に車両生産と販売から撤退を表明した中国事業が同90.3%減と大きく足を引っ張った。インドネシアは同1.1%増とプラスだったが、アジアトータルでは同6.4%減となった。

 海外と比較すると国内生産は好調で、前年比13.6%増の50万638台と3年連続で増加した。半導体の供給改善に加えて、北米向け「アウトランダー」の好調や、軽自動車の新型車「デリカミニ」がヒットし、国内販売に大きく貢献した。

 ただ、足元の実績は振るわない。2023年12月単月のグローバル生産は、前年同月比13.3%減の7万5301台と3カ月ぶりのマイナスだった。12月の世界生産での2桁パーセント減は、不正による稼働停止のダイハツを除くと三菱自のみで、8社の順位でもスバルを下回り最下位となった。特に海外生産が厳しく、同21.2%減の3万3677台と7カ月連続のマイナス。市場が低迷しているタイは同13.1%減、インドネシアも同23.6%減と主力拠点がそろって低迷した。加えて撤退を決めた中国が実績を押し下げ、アジアトータルでは同22.0%減だった。

 国内生産も、前年同月比5.6%減の4万1624台と3カ月ぶりに減少した。輸出は同31.8%増と伸長した他、好調なデリカミニも純増となったものの、軽EVの日産「サクラ」と三菱自「eKクロスEV」の需要が一巡して急減。「デリカD:5」や「アウトランダーPHEV」といった国内向け主力車種も大きく台数を減らした。

スバル

 スバルの2023年のグローバル生産台数は、前年比13.0%増の95万9147台と2年連続で前年実績を上回った。前年に比べて半導体不足が緩和したことが要因で、コロナ禍前の2019年との比較でも2.8%減という水準まで回復している。主要市場の米国での受注も好調で、供給台数の増加で米国販売も4年ぶりにプラスとなった。このうち国内生産は同8.1%増の60万8327台と2年連続のプラス。海外生産は同22.6%増の35万820台と2年連続で増加した。

 12月単月のグローバル生産台数は、前年同月比5.4%増の8万189台と11カ月連続の前年超え。このうち国内生産は、同5.3%減の5万4219台と2カ月ぶりのマイナスだったが、海外生産は同37.9%増の2万5970台と11カ月連続のプラスで好調を維持している。

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