日系メーカーの新車生産は本格的に回復、コロナ禍前に届かない企業も自動車メーカー生産動向(2/4 ページ)

» 2024年02月28日 06時00分 公開
[MONOist]

トヨタ自動車

 メーカー別に見ると、トヨタの2023年のグローバル生産台数は前年比11.1%増の1003万3171台と3年連続で増加した。2019年の905万台を上回り、暦年の世界生産として過去最高を更新するとともに、初めて1000万台の大台を超えた。けん引役は国内生産で、同26.9%増の337万752台と4年ぶりにプラスへ転じた。半導体など部品供給が改善したことに加えて、国内市場の納期短縮を目的に、国内向けの部品供給を増やしたことも大幅増につながった。生産回復に伴い輸出も同16.9%増の195万137台と好調で、2年ぶりに前年実績を上回った。

 海外生産も伸長し、前年比4.6%増の666万2419台と3年連続のプラス。暦年の過去最高を更新した。前年に比べて半導体不足が緩和したことに加えて、前年に発生した中国のロックダウンやゼロコロナ政策によるサプライチェーン混乱の反動もプラスにつながった。

 地域別では、主力の北米は前年比9.5%増と3年連続で増加した。一方、中国は、前年の上海のロックダウンの反動はあったものの、COVID-19感染拡大による稼働停止や、新たな排出ガス規制「国6b」への対応に伴う生産調整などを実施した他、市場のEVシフトによる販売競争の激化を受けて、同4.7%減と暦年の中国生産として11年ぶりに前年割れとなった。

 中国以外のアジアは、タイの経済低迷の他、ベトナムやパキスタンなどでも伸び悩んだものの、堅調な需要に加えて半導体など部品供給が改善したことで、インドの前年比2.7倍をはじめ、インドネシアが同3.7%増、フィリピンが同13.4%増、台湾が同10.4%増と伸びを見せた。その結果、中国を含むアジアトータルでは同2.1%増と3年連続で前年実績を上回った。欧州は、チェコでの部品工場火災により稼働停止したが、半導体の供給改善や需要が堅調に推移したことにより同0.7%増と微増を確保し、3年連続のプラスだった。

 2023年12月単月のグローバル生産は、前年同月比15.4%増の80万2390台と12カ月連続でプラスを確保し、12月として過去最高を更新した。このうち国内生産は、同22.2%増の27万802台と好調で、12カ月連続の前年超え。堅調な需要に加えて、前年に比べて半導体不足の改善が進んだことが要因だ。それでも「アルファード/ヴェルファイア」「プリウス」「クラウン」など人気の新型車は受注停止や1年以上の納期となっており、依然として供給が追い付いていない状況は続いている。

 2024年1月29日には豊田自動織機で自動車用ディーゼルエンジンの認証試験不正が発覚。該当する「GDエンジン」を搭載する「ハイエース」「ランドクルーザー」「ハイラックス」などの出荷/生産を停止した他、同じ生産ラインのアルファードなどの生産も停止している。2月中旬時点で生産再開のめどは立っておらず、納期を含めて今後の販売への影響が懸念されている。

 2023年12月の海外生産は、前年同月比12.2%増の53万1588台と3カ月連続で前年実績を上回った。主要市場の北米は、部品供給不足の緩和により同10.5%増と9カ月連続で増加した。また、中国は競争激化により販売は減少しているものの、前年がゼロコロナ政策による稼働停止を実施したことで同30.5%増と大幅増となり、2カ月連続のプラス。

 中国以外のアジアは、主力のタイが経済低迷により販売が減少しており前年同月比22.7%減と低迷した。一方、インドネシアは同2.2%増、フィリピンは同20.2%増、台湾は同13.8%増と堅調で、さらにインドが旺盛な需要と工場の能力増強により同2.5倍と大幅に増加。その結果、中国を含むアジアトータルは同18.4%増と2カ月連続で増加した。欧州はトルコが減少し、同1.9%減と3カ月ぶりのマイナスだった。

ダイハツ工業

 トヨタが好調な一方で、グループ傘下のダイハツは厳しい状況に置かれている。2023年のグローバル生産は、前年比1.7%減の166万9230台と3年ぶりに前年実績を下回った。8社の世界生産では唯一の前年割れとなった。要因は国内生産で、半導体不足に加えて、仕入れ先で火災が発生、さらに認証試験の不正が相次ぎ発覚した。

 ダイハツの国内生産では、ブレーキ部品に搭載する半導体の不足により、5月から6月にかけて大分工場(大分県中津市)と京都工場(京都府大山崎町)で相次ぎ稼働を停止。加えて6月18日には、リヤアクスルなどのユニット部品を調達する浅野歯車工作所で工場火災が発生し、本社工場(大阪府池田市)や滋賀工場(滋賀県竜王町)、ダイハツ九州で稼働停止を余儀なくされた。

 そして、最も影響を及ぼしたのが、認証試験の不正だ。まず、2023年4月28日に海外向け車両での側突試験認証申請で不正があったと公表。その後、5月19日には国内向け「ロッキー/ライズ(トヨタ向けOEM)」のHEVでもポール側面衝突試験の認証手続きに関する不正があったと発表し、生産を停止した。これを受けて第三者委員会を設置し、社内調査や再発防止策の策定を進めていた。

 その結果、2023年12月20日に国内外64車種と3エンジン(生産終了モデル含む)を対象に25の試験項目で174個の不正が新たに判明したと発表した。これを受けて12月25日以降、OEM(相手先ブランドによる生産)供給モデルを含む全車種の生産と出荷を停止。12月の国内生産は前年同月比33.1%減の5万2219台と大幅減となった。2023年暦年の国内生産も、前年比5.5%減の82万965台と4年連続のマイナスとなり、8社の国内生産で唯一減少した。

 なお、国交省はダイハツ全モデルについて安全性能の適合性を確認しており、2024年2月下旬時点までに衝突試験時にエアバッグのタイマー着火などの不正を行った「グランマックス」のトラックなどの型式指定を取り消す処分を下した。一方、安全性に問題がないトヨタ「プロボックス」や「ミライース」「ハイゼット/アトレー」の他、「ロッキー/ライズ(トヨタ)」のガソリン車などは出荷停止指示を解除。プロボックスは2月12日から、ミライースとハイゼットなどは26日から生産を再開している。

 国内生産で混乱が続いた一方で、海外生産は好調だった。一連の不正問題では海外生産車も対象となり生産/出荷を停止したが、各国の関係当局から数日で許可が下りたため、実績には大きな影響を及ぼさなかった。このため2023年暦年の海外生産は、前年比2.4%増の84万8265台と3年連続のプラスで、暦年の海外生産として過去最高を更新した。インドネシアは前年に実施した政府の減免措置の反動により同6.4%減と伸び悩んだものの、マレーシアが新型「アジア」の投入などにより同18.8%増とけん引した。

 2023年12月の海外生産は、前年同月比17.0%減の6万8903台と2カ月連続のマイナスだった。マレーシアは同0.8%増と微増だったものの、インドネシアは前年に高い伸びを示した反動で同27.1%減と大きく減少した。不正問題で大幅減の国内生産と合わせた12月の世界生産合計は、同24.8%減の12万1122台と4カ月連続で減少した。

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