日系メーカーの新車生産は本格的に回復、コロナ禍前に届かない企業も自動車メーカー生産動向(3/4 ページ)

» 2024年02月28日 06時00分 公開
[MONOist]

ホンダ

 ホンダの2023年のグローバル生産は、前年比8.2%増の418万8039台と5年ぶりに前年実績を上回った。受注が好調で、半導体の供給不足緩和によって大幅に回復した北米が同30.1%増とけん引した。ただ、中国は、市場のEVシフトによる競争激化などにより、同11.1%減と3年連続のマイナス。上海のロックダウンやゼロコロナ政策で低迷した前年を大きく下回る厳しい結果となった。中国の減産によりアジアトータルでも同6.8%減と2年連続で減少。それでも北米の好調により海外生産トータルでは、同7.5%増の346万9518台と5年ぶりにプラスへ転じた。

 国内生産も好調で、前年比11.6%増の71万8521台と2年連続のプラス。前年に比べて半導体不足の影響が緩和しプラスを確保したが、コロナ禍で大幅減産した2020年との比較でも1.5%減という同等の水準であり、依然として半導体が足りていない様子が伺える。とはいえ、国内市場の需要動向を踏まえて部品調達を進めており、国内最量販車種の「N-BOX」はフルモデルチェンジの効果もあり、2023年の国内販売で同14.4%増と好調を維持。車名別ランキングでも唯一の20万台超えで、2位のトヨタ「ヤリス」に4万台近い差をつけて首位を独走した。

 足元の生産状況も好調だ。12月単月の世界生産は、前年同月比31.7%増の34万8675台と4カ月連続のプラス。このうち国内生産は、同24.2%増の6万9261台と5カ月連続で増加した。納期も直近では大幅に短縮しており、受注を停止している「シビックタイプR」を除けば、「シビック」「フィット」「ステップワゴン」「フリード」のHEVなど主力モデルは1カ月程度と通常の納期に戻っている。

 海外生産も前年同月比33.7%増の27万9414台と4カ月連続でプラスを確保。北米は新型車の販売好調に加えて半導体の供給改善により同25.0%増と好調で、12カ月連続のプラス。中国も厳しい販売競争は続いているが、前年のゼロコロナ政策の反動により同65.7%増と急増し、2カ月連続で増加。アジアトータルでも同38.3%増と2カ月連続で前年実績を上回った。

日産自動車

 日産自動車の2023年のグローバル生産台数は、前年比5.9%増の344万4164台と6年ぶりに前年実績を上回った。好調だったのが国内生産で、同28.5%増の71万8527台と2年連続のプラス。8社の国内生産で最も高い伸び率だった。半導体の供給改善に加えて、国内向けおよび輸出向け「エクストレイル/ローグ」、国内向け「セレナ」など新型車が貢献。その結果、輸出も同51.0%増と伸長した。ただ、半導体不足の影響は解消したわけではなく、コロナ禍前の2019年との比較では11.0%減にとどまった。

 海外生産は、前年比1.3%増の272万5637台と6年ぶりにプラスへ転じた。とはいえコロナ禍前の2019年との比較では34.3%減という低水準だ。プラスに貢献したのが北米で、新車販売の好調と半導体の供給改善により、米国が同12.3%増、メキシコに至っては同57.5%増と急増。英国も「キャシュカイ」の好調で同36.5%増と大幅プラスを確保した。

 一方、最大市場の中国は厳しく、足を引っ張っている。市場のEVシフトやそれに伴う競争激化などにより、前年比19.2%減と5年連続のマイナスだった。なお、この台数は小型商用車(LCV)を手掛ける東風汽車(DFAC)の株式売却に合わせ、LCVを除いて前年比を比較した日産独自の集計となる。日産の中国事業として前年実績にLCVを含んで比較すると同26.3%減となる。

 2023年12月単月のグローバル生産は、前年同月比23.9%増の27万3519台と3カ月連続で前年実績を上回った。大幅増の要因は中国で、前年のゼロコロナ政策の反動増により、同2.5倍と2カ月連続で増加した。北米のうち米国が同6.7%増、メキシコも同6.0%増とプラスを確保したものの勢いが弱まっている。これは物流が逼迫(ひっぱく)していることが理由で、このため2023年度の販売計画も下方修正した。英国は同35.4%増と好調に推移した。その結果、海外生産トータルでは、同31.2%増の21万2321台と3カ月連続のプラスだった。

 国内生産は前年同月比3.9%増の6万1198台と20カ月連続のプラスを確保したものの、伸び率は大幅に鈍化した。北米同様に物流など供給面の課題が浮上していることが要因だ。輸出は同32.0%増と好調を維持した。

スズキ

 スズキの2023年のグローバル生産台数は、前年比1.7%増の322万4996台と、3年連続で増加した。同社生産の6割を占めるインドは、半導体の供給改善やSUVの新型車を積極投入したことなどにより、同0.9%増と3年連続で増加。暦年として過去最高を更新した。

 ただ、インド以外の海外生産が前年比12.3%減と低調だ。これはパキスタンで2022年12月に導入された新たな輸入外為規制で部品の確保が困難となり稼働停止したことが大きく響いた。その結果、海外生産トータルでは同1.0%減の222万9048台と3年ぶりに減少した。国内生産は、同8.3%増の99万5948台と2年連続のプラス。半導体の供給改善が進んだことが奏功した。

 2023年12月単月のグローバル生産台数は、前年同月比1.6%減の22万9624台と2カ月連続のマイナスだった。国内生産は半導体不足の改善や「スペーシア」や「スイフト」など新型車の投入効果もあり、同7.4%増の8万9212台と10カ月連続のプラス。輸出も同11.6%増と4カ月連続で増加した。一方で海外は、インドが同3.0%減と2カ月連続で減少した。インド以外の海外はさらに厳しく同23.7%減と低迷。海外生産トータルでは同6.5%減の14万412台と2カ月連続で前年実績を下回った。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.