ダイハツ工業とトヨタ自動車はダイハツの新たな役員体制を発表した。
ダイハツ工業とトヨタ自動車は2024年2月13日、東京都内で会見を開き、同年3月1日付のダイハツの新たな役員体制を発表した。代表権のある会長職を廃止するとともに社長が交代し、営業CS本部本部長やコーポレート統括本部本部長が取締役から退任する。新たな代表取締役社長と代表取締役副社長、非常勤の取締役はトヨタ自動車のメンバーが新たに就任する。
新社長に選ばれたのはトヨタ自動車 中南米本部本部長の井上雅宏氏だ。新副社長は、トヨタ自動車 レクサスインターナショナル レクサス電動化推進PJT担当で、トヨタ自動車九州の取締役副社長の桑田正規氏が務める。井上氏と桑田氏は3月1日付で現在の担当を離れる。
現在、ダイハツの代表取締役副社長で品質統括本部長を務める星加宏昌氏は続投。また、非常勤の取締役として、トヨタ自動車 カスタマーファースト推進本部 副本部長の柳景子氏が就任する。
今回の認証不正の根本は身の丈を超えた負荷を現場に強いたことだとし、経営陣が現場に降りていき現場の声を丁寧に聞きながら、現場に主権を取り戻す経営が必要だという考えの下で新体制が決定した。
新社長となる井上氏も「成長過程で業務の質と量が拡大してきたはずだが、現場の声や困りごとを吸い上げきれず、課題を残したまま業務を進めてきたことが認証不正の原因だと理解している。量の拡大に合わせてリソースを充てる必要があった。海外の仕向地が増えたということは、対応の難しい国もあり質の向上も不可欠だったはずだ。急拡大の中でのゆがみが、現場を管理する人々に見逃されたままだったのではないか。これを明確にした上で、風化させないようにしていきたい」とコメントした。
新年度(2024年度)がスタートするのに合わせて、ダイハツの新体制での経営方針を説明する場を設けるとしている。
ダイハツがCJPTから脱退することも発表した。ダイハツがCJPTに申し入れ、CJPTに参画する各社から承認された。CJPTに対するダイハツの出資比率は10%だが、ダイハツがCJPTに出資していた株式はトヨタ自動車が譲り受ける。CJPTがタイに設立した新会社でも同様の対応を取る。軽商用バンタイプのEV(電気自動車)を導入するプロジェクトはCJPTがスズキやトヨタ自動車と連携の上で進め、ダイハツも役割を担うという。
トヨタ自動車 代表取締役社長の佐藤恒治氏は会見で、「ダイハツの原点は軽自動車などの小型車=国民車でユーザーの暮らしを支えること」だとし、ダイハツの事業領域は軽自動車を軸とすることを改めて説明した。OEM(相手先ブランドでの生産)供給についても軽自動車を軸とする。
ダイハツの海外事業は、企画や開発、生産をトヨタ自動車からの委託に変更する。インドネシアやマレーシアでのパートナー企業と今後、細部を詰めていく。ダイハツにかかる負荷を考慮しながら、トヨタの得意領域はトヨタの方で担当するなどプロセスごとに切り分けて事業での分担を見直し、ダイハツの負荷を適正化することが今後の課題の1つだとしている。
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