表示画面を定義します。図21の「screen」と書かれた面です。screen面はViewベクトルと直交します。screen面をVベクトルとHベクトルで定義することにしましょう。VベクトルとHベクトルはViewベクトルと直交し、screen面上にあります。ベクトルの外積は元のベクトルと直交する性質を利用します。Hベクトルは式11で求めます。
Viewベクトルとscreen面は直交するので、H’ベクトルはscreen面上にあります。後の工程を簡単にするために、Hベクトルの大きさを1とします(式12)。
Vベクトルは式13で求まります。Viewベクトルとscreen面は直交するので、Vベクトルもscreen面上にあります。これでscreen面が定義できました。
図22に散布図のx座標を求める関係を示します。
Pベクトルは視点から測定点1に向かうベクトルです。両者の座標値を引き算すれば求まりますね。PベクトルのHベクトル方向成分が、screen面上のx座標、つまりExcelの散布図のx座標になります。式9で求めますが、Hベクトルの大きさ|H|は1でした。
screen面上のy座標、つまり散布図のy座標は式14で求めます。
screen面上のx座標とy座標は図23のようになります。
全ての測定点に対して、同様の方法でscreen面上のx座標とy座標、つまりExcelの散布図のx座標とy座標を求めた状態を図24に示します。直方体がscreen面に投影されました。
3次元表示したものをグルグル回してみたいですね。視点の位置を変えましょう。視点の位置Eyeは位置ベクトルでもあってEyeと表記します。中心Cも同様です。図25に示すように、ViewベクトルとHベクトルが直交していることを利用して、式15で新しい視点の位置を求めます。その後、HベクトルとVベクトルを計算し直します。aは小さな数値です。
ズームは式16となります。
式15、式16を使えば、3次元表示したものがグルグル回ります。以上が3次元表示のための散布図のx座標とy座標の求め方です。
モーダル解析の解説はこれで終了です。近年のPCの高性能化により、計算量の多いExcelシートでも速く計算でき、アニメーション表示まで可能となりました。筆者が会社に属していたころは「Visial Basic」で作ったオリジナルのソフトでアニメーション表示をしていました。今回紹介した方法を活用して、モーダル解析ソフトを購入する前にどんなものか試していただければ幸いです。
次回は、シミュレーションによる時刻歴応答解析と振動測定データを使った振動形状のスローモーション表示について取り上げます。 (次回へ続く)
高橋 良一(たかはし りょういち)
RTデザインラボ 代表
1961年生まれ。技術士(機械部門)、計算力学技術者 上級アナリスト、米MIT Francis Bitter Magnet Laboratory 元研究員。
構造・熱流体系のCAE専門家と機械設計者の両面を持つエンジニア。約40年間、大手電機メーカーにて医用画像診断装置(MRI装置)の電磁振動・騒音の解析、測定、低減設計、二次電池製造ラインの静音化、液晶パネル製造装置の設計、CTスキャナー用X線発生管の設計、超音波溶接機の振動解析と疲労寿命予測、超電導磁石の電磁振動に対する疲労強度評価、メカトロニクス機器の数値シミュレーションの実用化などに従事。現在RTデザインラボにて、受託CAE解析、設計者解析の導入コンサルティングを手掛けている。⇒ RTデザインラボ
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