エムエスシーソフトウェアは、音響解析ソフトウェア「Actran 2020」をリリースした。高速で正確な音響解析が可能になるため、航空機や自動車のメーカーは、騒音を低減し、乗員の快適性を向上する製品を開発できる。
エムエスシーソフトウェアは2019年12月24日、音響解析ソフトウェア「Actran 2020」をリリースした。強まる騒音規制に直面する航空機、自動車メーカーを支援する。
Actran 2020は、「vibro-acoustic」「aero-acoustic」の2つの技術から構成される。モデルをより効率的にセットアップ、定義できるよう、GUIがさらに使いやすくなり、解析結果の評価ツールが多数追加された。高速で正確な音響解析が可能になるため、航空機や自動車のメーカーは、騒音を低減し乗員の快適性を向上できる。
従来、吸気騒音の伝搬に対する正確な流れ場の効果をモデル化するのは困難だったが、Actranの航空機エンジン騒音予測は音響ダクトモードを用いて平均渦成分を自動的に考慮し、ナセルの吸気流と境界条件の不一致を防ぐ。さらに、ナセルを短くするなど設計変更をした場合の騒音面での影響をより正確に解析し、音響処理の配置を最適化する。
排気騒音については、航空機エンジンの間接的な燃焼騒音のシミュレーションはコスト面からほぼ不可能とされていた。Actran 2020には、簡単なモデルを使用してターボ機械の間接的な燃焼騒音を評価できる、Cumpsty&Marbleコンパクトモデルが実装されている。
近々発表されるISO 360-1規格では、自動車のタイヤによる騒音を2024年までに60%まで減らすことが求められるという。Actran 2020のノイズ評価ユーティリティは、回転しながら振動を解析するソルバと組み合わせて、タイヤの時間領域駆動をタイヤ変形メッシュと関連付ける。これを周波数領域に置き換えてその場のタイヤ騒音発生を予測することで、タイヤ騒音を正確に解析できる。
音響放射パワーや自動車の通過騒音計測についても、ISO 3744をはじめとする各種標準音響試験手順に従った仮想試験用のテスト結果が自動生成されるなど、騒音や振動、乗り心地(NVH)のエンジニアリングワークフローを決定する機能が強化されている。
また、電気モーターからの室内騒音は中高周波数で顕著に現れるが、音響エンジニアが中高周波数で車両全体をモデリングし、重量やコストを加味しながら、音響処理の絶縁や吸収効果を最適化できる「Actran SEA」を実装するなど、輸送騒音にまつわる多様な課題に対処する。
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