藤田医科大学は、犬のアトピー性皮膚炎に関する新たな補助療法を発表した。プレバイオティクスとプロバイオティクスを組み合わせたシンバイオティクスにより、治療時のステロイド量を低減し、症状を改善させることが明らかになった。
藤田医科大学は2023年5月17日、犬のアトピー性皮膚炎を改善する、新たな補助療法を発表した。シンバイオティクスにより、治療時のステロイド量を低減し、症状の改善を確認できた。FINAL ANSWER、ウェルネオシュガーとの共同研究による成果だ。
シンバイオティクスは、プレバイオティクスとプロバイオティクスを同時に摂取することを指す。プレバイオティクスは、良い効果を発揮する体内の菌を選択的に増やす食成分。プロバイオティクスは、体に良い効果をもたらす生きた菌だ。これまでに、疾患を改善するさまざまなシンバイオティクスの組み合わせが確認されている。
今回の研究では、ステロイド治療で改善効果が見られないアトピー性皮膚炎の犬15頭に対して、プレバイオティクス「ケストース」と乳酸菌「Lactobacillus paracasei(ラクトバチルス パラカゼイ)」を90日間投与。投与前後のアトピー性皮膚炎スコア、かゆみスコア、ステロイド使用量を比較検証した。
ケストースはアトピー性皮膚炎や生活習慣病改善効果が知られている3糖のプレバイオティクスで、Lactobacillus paracaseiはアレルギー抑制効果が報告されているプロバイオティクスだ。これらを組み合わせて摂取することで、アトピー性皮膚炎の治療で使用するステロイド量が低減し、皮膚炎の症状が改善することが分かった。
今後、犬のアトピー性皮膚炎の治療時に使用する、新たな補完治療としての可能性が示唆される。また、ヒトへの応用も期待される。
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