本連載第84回および第88回で米国のバイオエコノミー研究開発推進施策を取り上げたが、その中からサイバーセキュリティ対策の進捗状況について取り上げる。
本連載第84回および第88回で、米国のバイオエコノミー研究開発推進施策を取り上げたが、その中からサイバーセキュリティ対策の進捗状況について取り上げる。
2023年3月3日、米国立標準技術研究所(NIST)は、「IR 8432:ゲノムデータのサイバーセキュリティ」第1草案(関連情報)を公開し、パブリックコメントの募集を開始した(募集期間:2023年4月3日まで)。
本草案では、以下のような目的を掲げている。
また本草案は、以下のような構成になっている。
これらのうち「2.背景」では、「サンプル収集」「サンプル準備」「シーケンシング」「データ生成」「データ分析」から成るゲノム情報ライフサイクルを提示した上で、図1のような形でゲノムデータの特徴を挙げている。
図1 ゲノムデータの特徴 出所:National Institute of Standards and Technology (NIST)「NISTIR 8432 (Draft) Cybersecurity of Genomic Data」(2023年3月3日)ゲノムデータの転送/共有は、人間の健康の理解、ウエルビーイングの改善、科学の研究や進化の加速のために必要不可欠である反面、ゲノムデータ制御の損失は、プライバシーや個人の安全性、国家安全保障に対するリスクを引き起こす可能性がある。ゲノムデータ利用のベネフィットとリスクのバランスを考えると、研究や商用化を可能にする、適切な技術およびポリシーの制御とともに、再識別化からの保護を望むデータ主体のインフォームドコンセントやプライバシーを尊重することが必要だとしている。
次に、「3.ゲノム情報取扱に関連する課題と懸念」では、表1に示す通りゲノム情報処理に関連する課題や懸念事項を整理している。
表1 ゲノム情報処理に関連する課題/懸念事項[クリックで拡大] 出所:National Institute of Standards and Technology (NIST)「NISTIR 8432 (Draft) Cybersecurity of Genomic Data」(2023年3月3日)を基にヘルスケアクラウド研究会作成Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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