トヨタ自動車 社長の佐藤恒治氏は次のようにコメントした。「十分に法規に適合する実力があるのに不正が行われているのは根が深い。NGをOKに書き換える以上に深刻だと考えている。試験の結果や開発プロセスをみると、複数回の設計変更の上で認証取得のタイミングを迎えている。本来であれば、正式な設計変更として申請すべきだった」(佐藤氏)
また、ダイハツ社内の風土にも言及した。「切り込みを入れて弱い部分を意図的につくり、乗員へのダメージを下げる工夫は、通常の開発でも日常的に行われている。ドアトリムの変形パターンをコントロールしたいというエンジニアとして純粋な行為をなぜオープンにできなかったのか。この変更が必要だと主張できる環境であれば、不正にはならなかった」(佐藤氏)
ダイハツは今後、内部調査委員会と、独立した第三者委員会を設置し、不正の解明や真因分析、再発防止策の取りまとめに取り組む。調査結果は第三者委員会の報告を受けてから公開する。
「これまでの自動車業界の燃費や排ガスの不正を受けて、環境性能に関する不正がないことは社内で確認してきたが、衝突安全に関しては十分に調査できていなかった。改めて反省したい」(奥平氏)。トヨタ自動車は、グループ全体で認証業務の総点検を行う考えだ。ダイハツの軽自動車の強みを生かして新興国向けの小型車開発に協力してもらう戦略は今後も維持する。
トヨタ自動車は2023年5月8日、代表取締役会長の豊田章男氏がタイを訪問して関係者など向けに説明会を開いたと発表した。
衝突安全性能の確認状況についても明らかにした。ダイハツが量産部品を用いてUN-R95の側面衝突の社内試験を実施し、要求事項を満たしていることを確認したという。その後、第三者認証機関のVincotteによって、販売済みの車両は安全規格に適合しており、リコールせずに安全に使用できることが確認された。
4月28日には第三者認証機関立ち会いの下で側面衝突試験を再度実施し、UN-R95の要求事項を満たすことを確認した。5月2日にはUN-R95認証の延長が認められた。販売に関しては当局と協議中だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.