ダイハツの2022年のグローバル生産は、前年比11.8%増の169万7849台と2年連続で前年実績を上回った。けん引したのが海外生産で、同29.6%増の82万8688台と2年連続のプラスで、暦年として過去最高を記録。8社の中でも最も高い伸び率だった。新型車効果や前年のロックダウンに対する反動、部品供給不足の改善などにより、インドネシアが同21.0%増と暦年で過去最高を更新。マレーシアも政府の減免税政策よる需要拡大などで、同49.5%増と高い伸びを見せた。
一方、国内生産は、前年比1.1%減の86万9161台と3年連続で減少した。軽自動車は同5.5%増だったが、登録車が同13.7%減と振るわなかった。前年にベトナムとマレーシアからの部品供給が滞ったことで大規模な生産停止を実施していた反動で、8月以降は大幅増となったものの、中国でのロックダウンによる部品供給不足や年間を通じて半導体不足の影響が続いたことで断続的な稼働停止を実施したため、暦年トータルでは前年実績を下回る結果となった。
12月単月の世界生産は、前年同月比5.9%増の16万1059台と7カ月連続で増加するとともに、単月の世界生産として全ての月を通じて過去最高を更新した。好調の要因は海外生産で、同23.7%増の8万3031台と17カ月連続のプラス。12月の海外生産として過去最高だった。インドネシアは同16.2%増で単月の生産台数として過去最高。マレーシアも同39.6%増と、ともに好調が続いている。
海外が好調な一方で、国内生産は前年同月比8.2%減の7万8028台と5カ月ぶりにマイナスへ転じた。軽自動車は同12.2%増と伸長したが、登録車が同43.2%減と大きく落ち込んだ。これは、前年がシリーズハイブリッドモデルを追加した「ロッキー」およびトヨタ向けにOEM供給する「ライズ」、トールワゴン「トール/ルーミー(トヨタ)」の販売が好調だったことに加えて、半導体不足によりロッキー/ライズを生産する滋賀第2工場で稼働停止を実施したことが響いた。
マツダの2022年のグローバル生産台数は、前年比1.6%増の109万1896台と5年ぶりに増加した。前年が自然災害や部品供給難などにより低迷した反動によりプラスを確保したものの、依然として半導体不足の影響が大きく、コロナ禍前の2019年との比較では26.6%減にとどまっている。
このうち世界生産の3分の2以上を占める国内生産は、前年比0.1%減の73万4833台と3年連続のマイナス。中国からの部品供給不足などにより5月まで大幅に減少したが、6月以降は前年の反動もあり前年実績を大幅に上回っていた。ただ、ゼロコロナ政策の影響などにより11月から再び減少局面に転じた。車種別では、主力モデルの「CX-5」は同9.6%増と伸長したが、「マツダ3」が同23.6%減と低迷した。
海外生産は、前年比5.2%増の35万7063台と5年ぶりにプラスへ転じた。国別では、タイが前年の反動に加えて、日本市場向け「CX-3」の生産を開始したことで、同78.4%増と大きく伸長した。メキシコも稼働停止期間の短縮などにより同16.3%増、さらに米国で2022年1月に稼働した新工場が純増となり、北米トータルでは同40.7%増と大幅な伸びを見せた。一方、中国は半導体不足や上海のロックダウン、ゼロコロナ政策の影響の他、「マツダ6」や「CX-4」の需要減退に合わせて生産調整を実施したため、同43.0%減と大幅減となった。
マツダも足元の減速が鮮明となっている。12月単月のグローバル生産台数は、前年同月比8.1%減の9万515台と2カ月連続のマイナス。このうち国内生産は同20.2%減の6万2347台と2カ月連続で前年実績を下回った。車種別ではCX-5が同30.4%減、マツダ3は同15.7%減、「CX-9」は同1.9%減だった。
一方、海外生産は、前年同月比38.5%増の2万8168台と7カ月連続のプラス。けん引したのがタイと北米だ。タイは前年より稼働停止日が減少した他、日本向けCX-3の純増により同98.2%増と倍増した。北米も同148.5%増と2.5倍に増えた。メキシコが前年に実施した稼働停止の反動により同100.2%増と倍増したことに加えて、米国新工場で生産する新型SUV「CX-50」の3191台が純増となった。ただ、中国は需要低迷による生産調整を実施。同48.2%減と厳しい状況が続いている。
三菱自の2022年のグローバル生産台数は、前年比3.5%減の101万2408台と2年ぶりに減少した。国内生産は同0.3%増の44万762台と微増で、2年連続のプラス。前半は中国からの部品供給が滞った影響が発生したが、5月からプラスに転じた。半導体不足は続いているものの、「アウトランダー」の新型車効果や、5月から生産を開始した軽自動車タイプの電気自動車(EV)「eKクロスEV」および日産「サクラ」が貢献し、プラスを確保した。
海外生産は、前年比6.2%減の57万1646台と2年ぶりに前年実績を下回った。中国はロックダウンなどの影響で同43.4%減と低迷。中国で生産する5社で最大の落ち幅となった。主要地域の東南アジアは前年が好調だった反動もあり、主力拠点のタイが同10.9%減と伸び悩んだ。インドネシアは同3.6%増と着実に台数を伸ばした。
12月単月のグローバル生産は、前年同月比2.2%減の8万6809台と3カ月連続の前年割れ。厳しいのが海外生産で、同32.3%減の4万2718台と3カ月連続のマイナスだった。主力拠点のタイが同36.6%減、インドネシアが同20.8%減と低迷した他、中国に至っては同66.4%減と大きな落ち込みを見せた。一方、国内生産は同72.0%増の4万4091台と3カ月ぶりに増加した。これは前年12月に主力モデルの「eKスペース」および日産向けにOEM供給する「ルークス」のエアバッグ不具合で生産を停止した反動が表れた。
8社の中で最も伸長したのがスバルだ。2022年のグローバル生産台数は、前年比14.0%増の84万8867台と5年ぶりに前年実績を上回った。ただ、2019年との比較では14.0%減という実績にとどまっており、受注は好調ながら、依然として半導体など部品供給不足が足を引っ張る格好が続いている。このうち国内生産は同18.4%増の56万2601台と6年ぶりのプラスで、部品供給不足が前年より改善した。なお、1.8リットルエンジン「CB18」の不具合で同エンジン搭載車の「レヴォーグ」「フォレスター」「アウトバック」を生産停止したが、輸出向けなどへ生産車種を切り替えたことで台数を確保した。海外生産は同6.2%増の28万6266台と3年ぶりにプラスへ転じた。
12月単月のグローバル生産台数は、前年同月比12.0%増の7万6102台と6カ月連続の前年超え。前年12月が半導体不足で大幅な減産を実施した反動が表れた。国内生産は、同30.8%増の5万7270台と9カ月連続のプラスだった。半導体不足は海外生産車で影響が大きく出ており、海外生産は同21.9%減の1万8832台と厳しく、2カ月連続で減少した。
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