発電専用だけど可変圧縮比でターボ、欧州で受け入れられる「e-POWER」のために電動化(1/2 ページ)

日産自動車は2022年7月20日、SUV「エクストレイル」をフルモデルチェンジして発表した。

» 2022年07月21日 08時30分 公開
[齊藤由希MONOist]

 日産自動車は2022年7月20日、SUV「エクストレイル」をフルモデルチェンジして発表した。

 排気量1.5l(リットル)で直列3気筒の可変圧縮比エンジン「VCターボエンジン」を発電専用で使うシリーズハイブリッドシステム「e-POWER」を全車に搭載する。日本市場は「ノート」でe-POWER比率が圧倒的に高かった経緯を踏まえて、e-POWERのみとした。VCターボエンジンのe-POWERは日本向けのエクストレイルで初めて投入し、欧州と中国にも展開する。

新型エクストレイル(写真右)とオーテックモデル[クリックで拡大]

 新型エクストレイルの4WDモデルには、前後のモーターとブレーキを統合制御する電動車向けの四輪制御技術「e-4ORCE」を採用した。e-4ORCEはEV(電気自動車)「アリア」で初搭載となった新技術で、新型エクストレイルにもアリアと同じく電子制御ブレーキを搭載している。高めの速度でコーナーに進入しても安定し、アクセルペダルを踏むほど曲がる4WDシステムだ。また、アクセルオフ時は四輪全てで減速することで、前のめりにならずにフラットな姿勢を保つ。

 税込み希望小売価格は2WDモデルが319万8800〜429万8800円、4WDモデルが347万9300〜449万9000円となる。WLTCモード燃費は2WDモデルが19.7km/l、4WDモデルが18.4km/lだ。発売日は2022年7月25日で、4WDモデルを先行して販売する。2WDモデルは同年9月から販売する。

e-4ORCEの動作イメージ[クリックで拡大] 出所:日産自動車

アリアよりも大トルクの新型モーターを搭載

 新型エクストレイルはプラットフォームを一新し、軽量化と車体の高剛性化を両立した。高い操縦安定性と快適な乗り心地を実現した。コーナリング時の修正操舵は先代モデルと比較して30%減少し、段差を通過したときの衝撃の大きさは40%改善した。また、ロードノイズやエンジン音の遮音を徹底することで、室内の高い静粛性を実現した。

 新型エクストレイルのプラットフォームは、ルノーや三菱自動車とのアライアンスの中で日産がリーダーとなって、ルノーや三菱自の要望を取り入れる形で開発した。

 車両サイズは全幅が先代モデル比20mm増となったが、全長が同30mm減の4660mm、全高が同20mm減の1720mmとなる。全長が短くなったものの、ホイールベースは先代モデル並みを維持した。また、全高が低くなっているが、フロアを下げることで後部座席のヘッドルームや足元の余裕も確保した。薄型シートの採用も後部座席の空間拡大に貢献している。最小回転半径は先代モデルよりも0.2m小さい5.4mで、取り回しの良さを確保した。

新型エクストレイルのパッケージング[クリックで拡大] 出所:日産自動車

 新型エクストレイルに搭載するe-POWERは、フロントに最高出力150kWのモーターを搭載する。フロントモーターの最大トルクは330Nmで、e-POWERを搭載する「ノート」の1.2倍となる。フロントモーターは新型エクストレイルで初搭載する新開発のモーターで、アリアのフロントモーターよりも大トルクだ。リアのモーターは三菱自動車の「アウトランダーPHEV」と共通で、最高出力100kW、最大トルク195Nmを発揮する。高出力なモーターによって、立ち上がりの早い発進加速、力強い加速の持続、低速での高い駆動力を実現する。

VCターボe-POWERの構成[クリックで拡大] 出所:日産自動車
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