応力、ひずみと密度ρiとの関係が分かったので、ラグランジュ関数Lを微分しましょう。ラグランジュ関数Lは式30でした。
第1項と第2項を別々に微分します。まず第1項です。
ρiで微分します。i=iの項だけが残ります。
第2項です。
ρiで微分します。i=iの項だけが残ります。
冒頭で、それぞれのρiが設計対象物のコンプライアンスに大きく影響するか、それとも大して影響を与えないか、つまり感度を求める必要があると述べました。式48と式50がその感度に相当するものです。では、ne個ある式48と式50を解けば最適解が得られるのでしょうか。
図8左図はMBB(Messerschmitt-Bolkow-Blohm)はりの境界条件と応力分布で、図8右図は最適化形状です。この応力分布から図8右図の骨が創出されるのでしょうか。そう簡単にはいきません。式48と式50の解き方にテクニックが必要です。そのテクニックは「最適性規準法(Optimality Criteria法)」と呼ばれているもので、詳しくは次回お話します。 (次回へ続く)
高橋 良一(たかはし りょういち)
RTデザインラボ 代表
1961年生まれ。技術士(機械部門)、計算力学技術者 上級アナリスト、米MIT Francis Bitter Magnet Laboratory 元研究員。
構造・熱流体系のCAE専門家と機械設計者の両面を持つエンジニア。約40年間、大手電機メーカーにて医用画像診断装置(MRI装置)の電磁振動・騒音の解析、測定、低減設計、二次電池製造ラインの静音化、液晶パネル製造装置の設計、CTスキャナー用X線発生管の設計、超音波溶接機の振動解析と疲労寿命予測、超電導磁石の電磁振動に対する疲労強度評価、メカトロニクス機器の数値シミュレーションの実用化などに従事。現在RTデザインラボにて、受託CAE解析、設計者解析の導入コンサルティングを手掛けている。⇒ RTデザインラボ
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