ファンケルは、ヒトiPS細胞由来感覚神経を用いて、皮膚深部での発生を想定した活性酸素が感覚神経の繊維を変性することで、痛みやかゆみなどの原因になる可能性を明らかにした。
ファンケルは2022年1月5日、ヒトiPS細胞由来感覚神経を用いて、皮膚深部での発生を想定した活性酸素が、痛みやかゆみなどの原因になる可能性を明らかにしたと発表した。順天堂大学との共同研究講座「抗加齢皮膚医学研究講座」での研究成果だ。
活性酸素は、シミやシワなど老化に深く関わるとされる。同社はこれまで、化粧品に含まれる防腐剤や紫外線の影響により、皮膚深部で活性酸素が増加することを明らかにしている。今回の研究では、ヒトiPS細胞由来感覚神経を用いてヒト感覚神経線維を再現し、活性酸素から受ける影響を検証した。
痛みやかゆみなどの感覚異常は、感覚神経線維の変性が皮膚感覚の伝達に影響を及ぼすことで発生する。変性した感覚神経線維では、ビーズ状の構造物増加とNicotinamide Nucleotide Adenylyltransferase 2(NMNAT2)のタンパク質発現の減少が起こるため、研究ではこの2つを変性の指標として用いた。
活性酸素がある状態でヒトiPS細胞由来感覚神経を培養したところ、ビーズ状の構造物増加とNMNAT2のタンパク質発現減少をそれぞれ確認した。これは、化粧品の防腐剤などで、活性酸素が増えている肌も同様の状態にあると考えられる。このことから、活性酸素で変性した感覚神経は、正常な機能に必要な物質の分配が感覚神経線維内で停滞し、正常な感覚伝達が妨げられて不快感を伝えることを示唆する。
今回使用したヒトiPS細胞由来感覚神経は、抗加齢皮膚医学研究講座でファンケルとリプロセルが共同開発したものとなる。これを使用し、感覚神経に及ぼす影響を試験管内で評価する手法を確立したことで、紫外線や防腐剤の長期的な使用などで皮膚深部に増えた活性酸素が、皮膚を過敏な状態に変化させる可能性を見出した。
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