花王は、紫外線吸収剤を含まない日焼け止めにおいて、高い紫外線防御効果とみずみずしい感触を兼ね備える、新たな処方技術の開発に成功した。水相に配合できる紫外線散乱剤内包カプセルを活用している。
花王は2024年12月11日、紫外線吸収剤を含まない日焼け止めにおいて、高い紫外線防御効果とみずみずしい感触を兼ね備える、新たな処方技術の開発に成功したと発表した。水相に配合できる紫外線散乱剤内包カプセルを活用している。
紫外線吸収剤を含まない日焼け止めで紫外線防御効果を得るには、酸化チタンなどの紫外線散乱剤を使用する必要がある。しかし、一般的に日焼け止めに用いる紫外線散乱剤は水に分散しないため、従来の紫外線吸収剤フリーの日焼け止めはオイルベースで感触が重く、塗布後に肌が白っぽく見える白浮きにつながりやすい。
そこで同社は、水と油の両方に親和性を持つカプセルで紫外線散乱剤を包み、ウオーターベースの水相中に入れる方法を考案した。目的とする紫外線防御効果を得るために、カプセルの大きさや素材、中に入れる紫外線散乱剤の濃度や大きさを検討し、最適な紫外線散乱剤内包カプセルを開発した。
同カプセルを配合した新開発品と、カプセルを含まない紫外線吸収剤フリーのウオーターベース日焼け止めを、皮膚の表面を模したプレートに塗布し、紫外線を当てて吸光度を測定した。その結果、開発品はカプセルを含まない日焼け止めと比べて、吸光度が高く、カプセルと油剤に含まれる紫外線散乱剤が隙間なく敷き詰められて、均一な塗膜を形成していることが示唆された。
さらに、モデル皮膚を用いて、従来の紫外線吸収剤フリーの日焼け止めと新処方の開発品で白浮きを比較した。新開発品は従来の処方と比べて色の変化が少なく、白浮きが目立ちにくいことが確認できた。
花王の調査によると、回答者の3割以上が、日焼け止めに対して肌への刺激の少なさを重視している。肌への刺激を抑えたいユーザーには、紫外線吸収剤フリーの日焼け止めという選択肢があるが、日焼け止めの中での割合が1割弱と少ない上、紫外線防御効果や肌なじみの点で課題があった。
同社は今回の研究成果を生かし、世界的に使用可能な原料を検討して、ユーザーが毎日使用できる日焼け止めの開発に取り組む。
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