リスクモンスターは、決算書の記載に基づいて算出したNetCashを比較した「金持ち企業ランキング」を発表した。上位3位は「任天堂」「信越化学工業」「SMC」で、上位20社のうち、製造業が13社ランクインした。
リスクモンスターは2021年2月1日、「第9回 金持ち企業ランキング【特別版(中間決算)】」を発表した。
同調査は、銀行や証券会社、保険会社などの金融機関とIFRS適用企業を除く決算短信提出企業2471社を対象とし、決算書の記載に基づいて算出したNetCashを比較した。なお、NetCashは「現預金−(短期借入金+長期借入金+社債+1年以内返済の長期借入金+1年以内償還の社債+割引手形)」で算出している。
「金持ち企業ランキング【特別版(中間決算)】」の1位は、NetCash9926億円の「任天堂」だった。2位が「信越化学工業」同8029億円、3位「SMC」同5761億円、4位「キーエンス」同4878億円、5位「セコム」同4136億円となっている。
上位20社にランクインしている業種を見ると「電子部品、デバイス、電子回路製造業」の「キーエンス」、「ローム」(12位)、「東京エレクトロン」(16位)の3社がランクイン。「はん用機械器具製造業」からは「SMC」と「ホシザキ」(13位)が、「電気機械器具製造業」からは「小糸製作所」(9位)と「オムロン」(14位)がランクインした。
玩具や医薬品など各種製造業からは「任天堂」や「信越化学工業」の他、「ファナック」(6位)、「シマノ」(8位)「大正製薬ホールディングス」(10位)、「リンナイ」(20位)の6社がランクインした。上位20社のうち製造業が13社を占める結果となり、製造業のCash保有度合いの高さが目立っている。
前回の順位と比較すると、前回25位だった「ニトリホールディングス」が11位、前回26位だった「東京エレクトロン」が16位にランクアップしている。両社は、好調な業績を背景に高水準の営業キャッシュフローを確保することで現預金を蓄積し、NetCashを増加させているようだ。
また、昨今の社会情勢下で一時休業した「オリエンタルランド」は前回20位から57位にランクダウン。「大成建設」「塩野義製薬」「バンダイナムコホールディングス」も今回上位20社には入らなかった。
上位20社にランクインしている企業のNetCashを前回ランキングと比較したところ、12社(60%)が増加し、8社(40%)は減少した。
アンケート集計企業全体に関して、前回ランキングとのNetCash比較を見ると、685社(30.0%)が増加し、1597社(70.0%)が減少した。NetCash増加企業の割合を比較すると、アンケート集計企業全体では増加企業の割合が30%であるのに対し、上位は60%と2倍の水準となった。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大により、日本企業の景況感の悪化が続く中、アンケート集計企業全体の7割以上がNetCash減少という厳しい経営状態となっている。一方、上位20位についてはNetCashが増加している企業が12社と半数を超えていることから、今後の経済情勢を考慮して、経営の安定性を高めるための戦略としてNetCashの蓄積を進めているとみられる。
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