Adecco Groupは、世界27カ国の働き手を対象にした調査「Global Workforce of the Future」を発表した。AIの活用で節約できた時間は1日当たり平均「1時間」で、節約した時間を28%が「創造的な作業」に充てていた。
Adecco Groupは2024年10月17日(現地時間)、「Global Workforce of the Future(2024年版)」を発表した。同調査は、世界27カ国の20の業界に所属する3万5000人以上の働き手を対象とした。
AI(人工知能)を活用している働き手が節約できている時間を調べると、1日当たりの平均は「1時間」で、2割は「1日当たり最大2時間」節約できていた。また、「1日当たり3〜4時間」節約できている働き手も5%いることが明らかになった。
AIの活用による1日当たりの節約時間が最も多かった業界は、「エネルギー、公共事業、クリーンテクノロジー分野」で、平均75分節約されていた。一方、最も少なかったのは「航空宇宙、防衛分野」で、平均52分だった。その他、「テクノロジー分野」は平均66分、「製造業」は平均62分、「金融サービス分野」は平均57分だった。
AIの活用によって節約された時間の活用方法は、28%が「創造的な作業に充てている」、26%が「戦略的思考に時間を割けるようになった」と回答した。また、27%が「AIのおかげでワークライフバランスが改善された」と答えた。一方で、「取り組んでいる仕事のボリュームは変わっていない」と23%が回答している。「個人的な活動に多くの時間を費やしている」と回答した人も21%いた。
AIが雇用の安定性に与える影響は大幅に過小評価されており、多くの従業員が現在の職場に留まることを選びつつも、13%が「AIの影響で仕事を失った」と回答した。
また、「長期的な雇用の安定性」について40%が懸念を示しており、83%が「現在の職場に留まる意向」を示した。これは、過去3年間で最も高い数字となっている。一方、「AIのスキルが仕事の機会を広げる」ことに51%が同意し、「AIによってスキルを学び、仕事で成長する機会が増えた」と46%が回答している。
キャリア開発において、「将来に対して備えている」と答えた回答者は11%だったが、これらの働き手には適応力があり、柔軟なキャリアプランを立てて、新しいスキルを積極的に習得しようとする姿勢を持っている。
「将来に対して備えている」働き手のうち、「個別のキャリア開発に関する支援」を受けているのは93%だったが、働き手全体では51%だった。また、「将来に対して備えている」働き手は、95%が企業の提供するリーダーシップトレーニングに参加していた。働き手全体では、57%しかトレーニングに参加していなかった。
社内異動については、76%が「企業は外部からの採用の前に組織内での異なる役割のために既存の従業員を優先的にトレーニングすべきだ」と考えており、2023年から12ポイント増加している。しかし、新しいスキルを獲得するために現在の職場に留まる意向を示した働き手は9%で、前年から7ポイント減少した。
また、過去12カ月間において「過労によるバーンアウトを感じた」と40%が回答。AIによって仕事に悪影響を受けた回答者は、「バーンアウト」を62%が感じていた。
回答者が所属する企業のリーダーについても尋ねた。リーダーが十分なAIスキルや知識を「持っている」と回答したのは46%だった。また、76%は「スキルや経験を超えて自身の可能性を見いだすことができるリクルーターのヒューマンスキルを重視している」と回答した。これは2023年には64%だったが、12ポイント増加している。
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