電力原単位を5%低減、溶解効率の高い新型誘導炉FAニュース

富士電機は、新型誘導炉「F-MELT100G」を発売した。炉体構造の最適化により溶解効率を向上した結果、電力原単位を5%低減。鋳物生産の省エネ化に貢献する。

» 2020年04月24日 07時00分 公開
[MONOist]

 富士電機は2020年4月1日、溶解効率の高い新型誘導炉「F-MELT100G」を発売した。自動車、自動車部品、機械加工などに使われる鋳物生産の省エネ化に貢献する。

 誘導炉は電炉の一種で、炉体のコイルに電流を流して誘導磁界と渦電流を発生させ、炉内の金属を直接加熱、溶解する設備だ。

 F-MELT100Gは、3Dシミュレーションを用いた高精度な磁界解析を基にコイルと継鉄を配置するなど、炉体の構造を最適化した。これにより溶解効率が向上し、同社の従来誘導炉と比較して、電力原単位(1tの原材料を溶解するために必要な電力量)を5%低減した。炉容量は3〜30t、電源容量は2250〜2万kW、計40系列だ。

キャプション 新型誘導炉「F-MELT100G」 出典:富士電機

 誘導炉と接続するIGBT式電源盤には、ケーブルやブスバー(電気接続用の導体)など多くの機器が配置されており、保守や点検時に盤の背面からも作業が必要だった。F-MELT100Gの内部ユニットには車輪が付いており、ユニットを前面側に引き出せるため、背面に回らなくても保守、点検作業ができる。

キャプション IGBT式電源盤 出典:富士電機

 鉄スクラップを使用する電炉は、鉄鉱石や石炭を用いる高炉よりも溶解時のCO2排出量が少ないため、近年関心が高まっている。同社は、市場が拡大している自動車、自動車部品メーカーを中心に、同誘導炉を展開していく。

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