NECは「第37回 ものづくり ワールド[東京]」の構成展の1つ「設計・製造ソリューション展」において、AIエージェントや生成AIなどを取り入れた、業務改革に向けた最新ソリューションを紹介した。
NECは「第37回 ものづくり ワールド[東京]」(会期:2025年7月9〜11日/会場:幕張メッセ)の構成展の1つ「設計・製造ソリューション展」において、AIエージェント(人工知能)や生成AIなどを取り入れた、業務改革に向けた最新ソリューションを紹介した。
不確実性の増す現代において、変化に即応するサプライチェーンの構築が求められている。そのために必要な要素の1つが、調整/交渉の迅速化だ。
NECは、独自技術の「自動交渉AI」を調達業務に適用したものを参考出展。同技術により、生産計画やモノづくりにおけるリアルタイムの実績などを基に、取引先への取引条件を生成し、自動で交渉まで行うことが可能となる。展示ブースでは、納期や数量調整の交渉を自動化し、取引先との交渉にかけていた時間を削減することで需要変動への即応性を高められる点をアピールしていた。「自動交渉AI自体は、さまざまな調整業務に適用できるものあり、最初のユースケースとして調達業務への適用で製品化を進めている」(NECの説明員)。
自動交渉AIは、自分たちにとっての“うれしさ”と交渉相手にとっての“うれしさ”をAIの内部で関数として持っており、その関数に沿って“Win-Win”となるような取引条件を生成する。
自動交渉AIが提示した条件に取引相手が合意できない場合、取引相手から提示された「●●なら可能」といった納期や数量の条件に対して、自動交渉AIが合意できるかどうかを判断。合意できないときは、新たな取引条件を生成して提示する。これらを合意に至るまで繰り返す。やりとりは、Chatbotを介してインタラクティブに行われる。
「需要予測に基づいてサプライヤーに発注するが、実際の需要が予測より多かったり、少なかったりした場合、納期や数量を交渉しなければならない。それらを現在は、Emailや電話を使い一対一でやりとりしているケースがほとんだ。それをAIが自動で調整してくれるようになる。自動交渉AIと自動交渉AIによる交渉も問題なく動作する」(NECの説明員)
2024年にNECのグループ会社で発注済み部品の納期調整において試験運用した結果、購買担当者が介在せず、AIだけで合意が達成できた自動合意達成率は95%になった。また、従来、数時間〜2日かかっていた交渉開始から合意までの時間も、約80秒に短縮されたという。
自動交渉AIのパラメーターの1つになるのが、在庫の基準値だ。従来は個別に人が設定していたが、過去に設定された数値をそのまま使っていることが多いという。最新のデータに基づいて適正在庫の基準値を算出するAIも開発している。「適正在庫AIが設定した基準値を自動交渉AIに渡して、適切な基準値の範囲内で交渉するといった、連携ができるソリューションになっている」(NECの説明員)。
近年はモノづくりに関する法規制の要件が複雑化し、仕向け地や製品ごとに異なる対応が求められるケースもある。NECが参考出展した「NEC製品法規適合AIアシスタント」は、生成AIを活用して各国の安全法規や電波利用に関わる法規、環境関連法規などの改定情報を自動チェックし、対応が必要か否かを判断する。さらに影響度を分析し、関連部署に向けて対応案を示唆するというものだ。
生成AIが煩雑な属人的な法規制対応を自動化し、担当部署にアドバイスすることで大幅な業務効率化を実現する。製造業の技術管理部や品質保証部、法規認証部といった部門向けに開発を進めている。「どんな法規の改正が何の製品に関係するのかはベテランの知見に依存しているところがある。それに対してAIがアドバイスしてくれることで経験が浅くても対応できるようになる。判断プロセスが記録されることで教育にも活用できる」(NECの説明員)。
現状は、人がまとめた法規制の改定情報を、AIが自社の製品情報と組み合わせて分析しているが、将来的にはWebクローリングを活用した自動検知などを見据えている。
その他、映像AI技術を活用した「NECものづくりDX映像AI分析ソリューション」や「NEC Digital Twinヒト作業ログ・分析ソリューション」などを展示した。
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