NECは「BluStellar」を中核とするDX事業の戦略について発表し、経営課題解決からひも付けたシナリオベースでの提案を強化する方針を示した。
NECは2025年5月30日、「BluStellar(ブルーステラ)」を中核とするDX事業の戦略について発表し、従来のテクノロジーやそれらを組み合わせたサービス(オファリング)としての提案だけでなく、顧客企業の経営課題解決からひも付けたシナリオベースでの提案を強化する方針を示した。
NECでは2019年からDX(デジタルトランスフォーメーション)の専任組織を立ち上げ、プラットフォーム構築やオファリング(テクノロジーを組み合わせてサービスとして提案する形)を用意してきたが、2024年からこれらの一連のDXについての取り組みを「BluStellar(ブルーステラ)」としてブランド化した。
NEC 取締役 代表執行役社長兼CEOの森田隆之氏は「NECは、独自開発した生成AI『cotomi』や生体認証技術など世界トップクラスのAI関連技術を持つ他、セキュリティ技術など優れた先進技術を保有している。一方でDXに関しては、“クライアントゼロ”として自社内でこうした技術を試し、成果につながるノウハウなどを含めて提供できる。こうした取り組みを基にブルーステラは発展している」と述べている。
また、NEC 執行役 Corporate SEVP兼CDOの吉崎敏文氏は「DX関連売上高は成長しているが、それには2024年のブルーステラのブランド化は大きかった。従来はバラバラのオファリングだったが、まとめた1つのブランドとなることで、社員が理解しやすくなり、顧客も理解してもらいやすくなった。そのため、引き合いが増えた」としている。
2025年度はさらにこれらを進化させるため、シナリオベースでの提案を強化する。DXに関するプロダクトやサービス、これらを組み合わせてパッケージ化したオファリングに加え、NECが社内や顧客へのDX導入によって得られた知見を組み合わせ、“型化”して経営課題解決に直結するシナリオとして用意する。
森田氏は「顧客企業にとっては、必要とする価値と実践のアイデアが結びついていないケースがよくあるが、シナリオとしてそれぞれを体系的に示すことで、要望している技術やサービスが必要かどうかを容易に検証できる。意思疎通を円滑に進めるツールとなる」と説明する。一方で吉崎氏は「型化することで、導入に向けた開発のスピードは上がる」と利点について訴えている。
ブルーステラのシナリオは現在約30種類が用意されている。業界共通のものとしては「収益拡大に向けたS&OPプロセス変革による全社意思決定の加速」や「事業成長を支え続けるセキュリティ経営改革」など14種類がある。また、製造業に特化したものとしては「サプライチェーン強靭化による変動対応力強化」や「エンジニアリングチェーンの進化による製品力/開発力強化」「スマートマニュファクチャリングの実現による業務プロセス改革」などがある。
これらの提案を強化することで、ブルーステラ関連売上高の成長を目指す。現在は、約6240億円の関連売上高となっており、利益率は13.2%だという。ただ、将来的には「時期は明示しないが、売上高1兆円、利益率20%を目指す」(吉崎氏)としている。
現在は国内ITサービス事業の売上高の約3分の1程度を占めているというが「全てが型化したものにはならないが、将来的には7割くらいにはなると見ている。現在のブルーステラはまだ3合目くらいで、さらに強化していく」と森田氏は述べている。
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