NECは「日本ものづくりワールド 2024」で、AIやIoTなどを取り入れた製造、サプライチェーンのDXに関する展示を行っている。
NECは「日本ものづくりワールド 2024」(2024年6月19〜21日、東京ビッグサイト)内の「第36回 設計・製造ソリューション展」に出展し、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)などを取り入れた製造、サプライチェーンのDX(デジタルトランスフォーメーション)に関する展示を行っている。本稿では、同社のPLM「Obbligato」と、日本語処理に強みを持つ同社開発の生成AI「cotomi」などの大規模言語モデル(LLM)を組み合わせた、設計の高度化に関するブースの展示内容を取り上げる。
NECは東レエンジニアリングと共同で、設計業務の上流工程の作業効率化と技術伝承などを目的に、ObbligatoとLLMを組み合わせた実証実験を同年8月から開始すると発表している。Obbligatoに蓄積された製品企画書や基準書、組立図、作業指示書、デザインレビュー(DR)結果、各種報告書、設計仕様書、図面、工程表、部品仕様書、変更指示書などのドキュメントや過去の製品開発における技術情報を、生成AIとの対話で効率的かつ高精度に検索、要約できるようにする。
主な用途としては3つを予定する。1つ目は過去製品やプロジェクトで生じた事象やポイントの要約だ。短時間で過去プロジェクトの概要を掴むことで、類似プロジェクトで知見を生かせるようにする。
2つ目は過去のトラブルやノウハウに基づき、設計や製品の仕様の妥当性をチェックし、品質リスクを洗い出す用途だ。製品品質の向上が見込める。3つ目は設計の手法や仕様に関わるアイデア出しだ。LLMによって仕様文書案の作成を支援してもらうことも可能になる。
NECの担当者は、特に品質リスクの洗い出しに関するニーズが大きいのではないかと見る。なお、Obbligatoと連携するLLMは、cotomiの他に複数のものを選択できるようにする予定だ。
東レエンジニアリングと共同で実証実験に臨むのは、同社がObbligatoのユーザー会で関心を示したことなどがきっかけだったという。実証実験の成果を踏まえて、2025年春からLLMと連携したObbligatoの新バージョンを提供開始する予定だ。
NECの展示ブースではPLMを軸とした設計の高度化に関連して、「Pendo」によるデジタルアダプションを通じたPLMの定着化や、「SOLIDWORKS」と連携した3Dデータの有効活用などを提案していた。前者については、Obbligatoの操作ログから初心者ユーザーの迷いやベテランのスキルを可視化して改善ポイントを検討する、アンケートを通じて評価情報を収集しユーザーレベルに合わせてガイドが最適になるよう修正する、といったものが具体的な施策として挙げられている。これらを通じてシステムの定着化を促進するとともに、PLM活用による作業効率の向上と教育工数の削減を狙う。
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