ニコンは、半導体デバイス製造の後工程にあたるアドバンストパッケージング向けに、1.0μm(L/S)の高解像度かつ600mm角の大型基板に対応した、デジタル露光装置「DSP-100」の受注を開始する。
ニコンは2025年7月16日、半導体デバイス製造の後工程にあたるアドバンストパッケージング向けに、1.0μm(L/S)の高解像度かつ600mm角の大型基板に対応した、デジタル露光装置「DSP-100」の受注を同月より開始すると発表した。同社としては初となる、半導体デバイス製造の後工程向け露光装置だ。市場への投入は2026年度中を予定している。
デジタル化の進展や生成AI(人工知能)の急速な普及を背景に、データセンター向けを中心に高性能半導体デバイスの需要がますます高まっている。複数の半導体チップを並べて接続するチップレットをはじめとするアドバンストパッケージングでは、配線パターンの微細化とともにパッケージの大型化が進み、樹脂やガラス基板などを用いたパッケージングの需要拡大が見込まれている。
DSP-100は、半導体露光装置の高解像技術とFPD露光装置のマルチレンズテクノロジーによる高生産性を実現している。マルチレンズテクノロジーは、複数の投影レンズを並べて精密に制御することで1本の巨大レンズを用いたかのように露光するニコンのFPD露光装置の独自技術だ。1.0μm(L/S)の解像度かつ≦±0.3μmの高い重ね合わせ精度に加え、1時間当たり50パネル(510×515mm基板の場合)の高生産性を実現する。
一般的な露光装置では、回路パターンが描かれたフォトマスクを使う。一方、DSP-100はフォトマスクを使わず、回路パターンを表示したSLM(空間光変調器)に光源からの光を照射し、投影レンズを用いて基板に転写する。そのため、フォトマスクサイズの制約を受けることなく大型のアドバンストパッケージングに対応できる。フォトマスクを作成する必要がないため、開発、製造におけるコストを削減し、リードタイムを抑制する。
対応基板サイズは最大600×600mmで、角型基板では100mm角大型パッケージに対して300mmウエハーと比較して9倍の生産性を実現。さらに、アドバンストパッケージングで重要となる基板の反りや変形に対しても高精度に補正する。
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