大阪大学と石川県工業試験場、村谷機械製作所は、直噴型マルチビーム式によるレーザーコーティング技術および装置を開発した。集光径が小さい複数のレーザー光を照射して溶融凝固させることで、薄く微細な皮膜を望む位置に正確に形成できる。
大阪大学は2018年10月30日、石川県工業試験場、村谷機械製作所と共同で、直噴型マルチビーム式によるレーザーコーティング技術および装置を開発したと発表した。
今回開発した技術は、ヘッドの中心から原料粉末を噴射供給し、集光径が小さい複数のレーザー光を照射して溶融凝固させることで、薄く微細な皮膜を、望む位置に正確に形成するものだ。
従来のレーザーコーティング装置と比較してレーザー光の集光径が小さく、原料粉末を直接加熱することで母材への熱負荷が抑えられる。これにより、ゆがみの少ないコーティングや薄肉の皮膜積層、さらにドリルの刃先など微細部にもレーザーコーティング可能になった。
直交3軸に傾斜軸と回転軸を合わせた5軸制御の自動ステージを組み合わせ、加工対象物を自在に傾ける方法で、角部や隅部にもコーティングできる。さらに、ジェービーエムとともに開発したCAMシステムで装置を動作させれば、球面などさまざまな形状の製品にコーティング可能だ。
また、マルチビーム式レーザーコーティング装置では、微量の原料粉末を安定して供給する必要があるため、専用の粉末供給機を開発した。この供給機には粉末供給量のモニタリング機能を搭載しており、バルブの開閉を自動制御して供給量を設定通りにすることで、原料粉末を安定して供給できる。
なお、村谷機械製作所は、同装置を同社のレーザー加工機「ALPION(アルピオン)」シリーズに追加し、2019年4月から販売する。
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